青森市で7月16日、同市に住む20代男性警察官が新型コロナウイルスに感染したというニュースがあった。警官は青森県警警備部に所属。10日に感染が判明した派遣型風俗店に勤める20代女性の濃厚接触者だった。市は女性と接触した客に検査を呼びかけていたが、警官は応じておらず、女性の感染発覚後も出勤していた。「言い出せなかった」とのことだ……。
風俗産業の経済規模がどのくらいかご存じか? 実は6兆円規模に上る(2017年レジャー白書)。とりわけ、市場規模拡大を牽引したのが「無店舗性風俗特殊営業」通称”デリヘル”と呼ばれる派遣型のサービスだ。年間売り上げは2.4兆円とも3兆円とも言われている。派遣型風俗は無店舗で経営できるので比較的新規参入ハードルも低い。
眉をひそめる人もいるかもしれないが、デリヘルは新風営法で合法と認められている。いわゆる本番行為はもちろん禁止だ。もちろん法を犯す人はいるだろうが、営業停止になるのを避けるため比較的順守されているようだ。
問題は、コロナ感染症蔓延の温床になっている可能性があるということだ。本番行為の有無と関係なく、濃厚接触であることは間違いない。そして社会的制裁を恐れるがゆえ、感染ルートとして問題に上がりにくい。
私は今年10月、東京都台東区の議員数人に対し講演をする機会があった。そのときに耳にしたのが、ある区議の証言だ。
9月に鶯谷で朝9時から9時15分まで演説をしていたそうだ。演説場所の目の前がラブホテルだったそうだ。その15分の間に3人の女性が単独で入っていったとのこと。2兆~3兆円とされる市場規模に「さもありなん」と納得していた。
自粛期間であっても営業している店舗はある
感染拡大に伴い、デリヘル利用者が減少しているのかどうかは定かではないが、自粛期間でも営業している店舗があることは間違いない。
派遣型風俗を禁止せよ、と簡単に言えない理由がある。貧困女性のセーフティーネットになっている可能性があるからだ。この職業に従事する女性の中にはシングルマザーも多い。賃料の高い東京などの都市部でシングルマザーが生活していくのは非常に厳しい。法的に禁ずれば、さらに地下に潜っていくだけだ。やむをえず認可している側面もある。
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