Zoomはなぜ強い?10分で学ぶ「差別化」の極意 早稲田MBAで教えている経営戦略の基礎

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競合優位性は、複数の要素を組み合わせて築くこともできます。個々の要素だけを見ると強みには見えない。でも、複数の要素を組み合わせると強みになる。こうした場合に模倣が困難になる、という考え方です。

一例として「ZARA」があげられます。ZARAは刻々と変わる流行に敏感な若者がターゲットです。流行に敏感で1シーズンしか着ません。ですから、耐久性は不要で、簡単な縫製で十分。簡単な縫製なら安くつくれるので売価を安くできます。

安ければ若者は多頻度で購入します。簡単な縫製ならスピーディな製造が可能です。短いリードタイムで生産し、新商品を毎週店舗に置くことができます。

高コストの広告は不要

次々に新商品が出るので、流行に敏感な若者は毎週来店します。顧客が毎週来店すれば、高コストのファッション誌広告は不要です。高コストの広告が不要なので売価を安くできます。

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リードタイムが短いので、店長が売れ筋をこまめに適量だけ発注してもすぐに店舗に届きます。そのため、品切れ・売れ残りが少ないのです。このように個々の要素の強みではなく、複数の要素がつながって強みをつくっています。そのため、競合が一部分だけ模倣しても同じ強みを構築できないのです。

いかがでしょうか? ご紹介した「大切な自社の優位性を守る方法」「競合優位性の築き方」は、「経営戦略」の基本的な部分でもあります。

経営戦略には、このほかにも「戦略的思考」「環境分析」「事業戦略」「コーポレート戦略」などがあります。模倣を防ぐ、競合優位性を築くこと以外にも、経営戦略を学ぶことは、ビジネスの問題を解決する糸口をつかむことにもなります。

新型コロナウイルスなどにより環境が大きく変化している、いわば「激変の時代」を生き抜くうえでも、経営戦略は必要な知識でもあります。この機会に、「経営戦略の世界」に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?

菅野 寛 早稲田大学ビジネススクール教授

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かんの ひろし / Hiroshi Kanno

早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)教授。東京工業大学工学部卒。同大学院修士課程修了。米国カーネギーメロン大学にて経営工学修士取得。その後、ボストン コンサルティング グループ(BCG)にて十数年間、日本およびグローバル企業に対してさまざまなコンサルティング・サービスを提供。BCGテクノロジー、メディアおよびテレコミュニケーション専門部会のアジア/パシフィック地区リーダーを経て、2008年より一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。2016年より現職。

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