Zoomはなぜ強い?10分で学ぶ「差別化」の極意

早稲田MBAで教えている経営戦略の基礎

ビデオ会議でZoomを使う人が多くなるのは、なぜなのでしょうか(写真:ロイター)
長年の研究・開発の末に新しい製品が大ヒット。大幅な増収を達成し、苦労した甲斐があったと喜んだ。が、それもつかの間、似た商品が競合他社から発売され、しかも自社製品より安い。みるみるうちに売り上げが下がる。ならば他社製品を参考に改良しよう……こうして互いに「模倣」し合うことになり、その結果、同質化競争に陥って誰も儲からなくなる、という残念なことになるのは、ありがちな失敗です。模倣だけでなく、魅力的な市場だと気づいた他社が「参入」してくるケースでも考えられます。
こうしたある種の「無益な争い」を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか。自分たちが築いた城、開拓した新しい土壌、いわば「大切な財産」を守るには、どうすればよいのでしょう。その方法は「経営戦略」にあります。早稲田大学ビジネスルクールで教鞭を執る筆者が、その講義内容をまとめた『MBAの経営戦略が10時間でざっと学べる』を基に、今回は他社と差別化する方法を解説します。

他社との差別化はお金で解決できる?

戦略の本質は「差別化」、すなわち「他社と違うことをすること」です。そのため競合が模倣しにくい資源や能力を育成・維持することが重要です。そのうえでまず、自社の資源や能力が、他社にとって「模倣困難かどうか」を分析することが大事になります。

そのための代表的な視点が3つあります。「①外部調達困難性」「②内部育成困難性」「③制度による参入障壁」です。 

①外部調達困難性:たとえ自社に強みがあっても、競合が同じ強みを外から調達すれば互角になってしまいます。誰もが外からお金で買えるものは、本質的な強みにはなりえないのです。

②内部育成困難性:自社に独自の強みがあっても、競合が資源を投入して同じ強みを内部で育成できてしまうのであれば、差別化にはなりません(ただし、育成に何年もかかる場合は、競合に追いつかれるまでは優位性を保てます)。競合が短期に、容易に内部育成できないような強みは何か、を考える必要があります。

③制度による参入障壁:具体例をあげると「特許制度」や「許認可制度」です。ただし、特許には有効期限があり、許認可制度も変更される可能性があります。そのため、制度による優位性に安住するのは危険です。

差別化を分析するための3つの視点(KADOKAWA提供)
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