東武越生線、単なる「枝線」と呼べない実力路線 箱根駅伝出場校など学生多数、行楽需要も旺盛

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「そうですねえ、基本的には通勤のお客さまが中心の路線です。昭和から平成にかけて、沿線にたくさんの戸建て団地が作られたんですよ」

こう教えてくれたのは、東武鉄道坂戸駅管区長の栁利彰さん。坂戸駅管区では東上線鶴ヶ島―寄居間と越生線全駅を管轄している。この栁さんの言葉通り、越生線は乗ってみれば一戸建て住宅がまとまって建ち並んでいる区画が目につく。そしてもう1つ、平日の日中にもかかわらず若い人たちが電車によく乗っているのだ。東京都心からは1時間とは言わなくともだいぶ離れているのに、どうしてなのか。

「そう、学生さんも多いんですよね。中学、高校から大学まで沿線には12くらいの学校がありまして、朝とか夕方には学生さんですごくにぎやかになるんです。朝は通勤で上りのお客さんがいて、折返しの下り電車には学生さんが乗って。夕方はその逆で」(栁さん)

沿線には学校がたくさん

中学生や高校生なら朝夕の通学時間帯だけに利用が限られがちだが、大学生は日中にも電車を利用することが多くなる。それが、越生線でたくさんの若者を見かけた理由というわけだ。なかでも学生の数が多いのは川角(かわかど)駅近くにある城西大学。その証拠に川角駅は坂戸駅を除く越生線7駅の中でいちばんの乗降人員(2019年度1日平均は1万4584人)を誇る。他の駅と比べれば圧倒的に多く、朝夕の通学時間帯にはかなりの学生で混雑することもあるという。

「いまはある程度落ち着いてきましたが、昔は入学試験を大学ごとにやっていたじゃないですか。その頃は1日に7000人くらい、川角駅に来るんですよ。もうさばききれないと言いますか、駅前の踏切で誘導をしたりするけど乗り切れないお客さんも出てきて。それくらいにぎやかでした。いまでも入学試験の時期がいちばん混雑するので、応援で人員を増やしているんです」(栁さん)

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