東武越生線、単なる「枝線」と呼べない実力路線 箱根駅伝出場校など学生多数、行楽需要も旺盛

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その越生駅、越生線の終点であると同時に、JR八高線との接続駅でもある。ただ、ハイキングなど観光で越生を訪れる人の多くは越生線の利用が大半だ。というのも、1時間に1本もあるかないかという典型的なザ・非電化ローカル線。いささか不便に過ぎるので、日中でも1時間に4本の運転本数が確保されている越生線に利用が多いというわけだ。

また、越生駅は2019年に大きな変化があった。それまでは越生線と八高線が駅舎や改札口を共有しており、JR東日本が管理していた。ところが、西口駅舎の建て替えに伴ってJR東日本が越生駅を無人化。そこで越生線側の東口に新たに駅舎を設けるとともに、新たにホーム上に東武鉄道の改札口を新設したのだ。東武鉄道の職員は越生駅に常駐しており、こちらはJR側と違って無人駅ではない。

平日も休日もにぎわう路線

いずれにしても、東武東上線の端っこで分かれている短い枝線の越生線、通勤のお客と若い学生たちでにぎわい、休日になると観光客たちもやってくる。もちろん沿線には畑も多くてのどかな雰囲気が色濃いが、それでも想像以上に活気のあるローカル線であった。栁さんは言う。

越生町はハイキングで町おこしに取り組む(筆者撮影)

「2017年に池袋からの臨時電車『寒梅号』を走らせたのが最後で、東上線からの直通電車は走っていません。いまでは運行形態が完全に切り離されているので、実現が難しいんです。ただ、個人的には越生線には越生を中心に魅力的な場所も多いですから、もっと来ていただきたいなと思うんですけどね」

越生町にはもともと公営の温浴施設があり、いまでは民間に譲渡されてグランピング施設などとあわせて「オーパークおごせ」として営業中。コロナ禍に見舞われた今年はキャンプやグランピングが大ブームになった。おかげで越生町のオーパークも連日予約でいっぱいの状況が続いたという。さらに新年には沿線の大学が2校も箱根駅伝に出場して注目を集める。東武越生線は単なるローカル支線ではなくて、もしかするといまいちばん注目すべき鉄道路線の1つなのかもしれない。

鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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