東武越生線、単なる「枝線」と呼べない実力路線 箱根駅伝出場校など学生多数、行楽需要も旺盛

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「野田線の車掌から東上線に来まして、一度春日部駅に戻ってまたこちらに来た。越生線の越生駅には乗務員の宿泊施設があったので、まったく縁がないというわけではなかったのですが、馴染みはなくて。あとは東上業務部の営業課にいた頃に、越生のハイキングイベントのお手伝いをしたくらい。武州長瀬駅の駅長になったのも今年10月1日なので、まだまだどんな路線なのか勉強中なんですよ(笑)」(池澤さん)

坂戸駅を除く越生線7駅のうち、駅長がいるのは池澤さんが勤務する武州長瀬駅ただ1つ。東上線などではかつてほとんどの駅に駅長がいたこともあったというが、越生線は伝統的に同駅だけに駅長がいる体制になっている。駅長がいるだけあって駅周辺は地域一帯の中心地のような雰囲気が漂う。

越生線では唯一駅長がいる武州長瀬駅(筆者撮影)

真新しい橋上駅舎と駅前ロータリーがあって、すぐ近くの踏切の脇には廃墟と化しているショーパブかキャバレーのような建物もあった。小さな路地沿いにはスナックから居酒屋、定食屋など地域密着系の個人店が並ぶ。せっかくの中核駅だし、このあたりで食事でもと思っても、どうも筆者のような一見客は入りにくい……。

「そうですよね(笑)。ただ、その分入っちゃったらアットホームな雰囲気らしいです。私も来たばかりなのでまだまだですけど。他の駅では……知る人ぞ知るようなおいしいお店もあるんですが、ちょっと駅からは離れているんですよね」(池澤さん)

ちなみに、越生線一帯の特産品は梅と柚子。飲食店でもこうした特産品を織り込んだメニューを出すところがたくさんあるのだとか。

観光の目玉はハイキング

「学生さんのご利用が多くて、言ってみれば学生さんで持っているような路線です。1993年をピークに利用者数も減少していますし……。ただ、休日になると観光のお客さまもたくさん利用していただけるんですよ。観光の目玉といったらハイキング。沿線にはいいハイキングコースがたくさんあるんです」(栁さん)

川越ほどのインパクトはないが、越生線終点の越生町も観光地として名高い地の1つ。水戸偕楽園と小田原の曽我梅林と並んで関東三大梅林に数えられる越生梅林もそうだし、黒山三滝や太田道灌ゆかりの地など、名所は少なくない。そうした中で、越生町は起伏に富んだ地形と自然の多さを生かしたハイキングに力を入れてきた。

「1999年から2015年まで、当社でも毎年10月にハイキング大会を主催していたんです。最大で5000人くらい来たことがあったくらいの大きな大会になりまして。完歩賞でもらえる帽子がほしいということで毎年参加するような方も多かった。いまでは当社主催の大会はやっていませんが、ちょうど2016年に越生町が『ハイキングのまち』宣言をしまして、毎月コースを変えて定例ハイキング大会をやっています」(池澤さん)

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