私立大文系入試、社会・数学で驚きの得点調整 「偏差値は得点よりも公平」は危険な思い込み

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同じ100点を取っても、社会を選択した受験生の偏差値は80、数学を選択した受験生の偏差値は65と算出される。その違いは得点の散らばりである15点と30点の差が原因だ。

上の例は、やや極端な数字で示してみた。しかし実際、ある私立大学経済学部の先生方が「数学が得意な新入生がほとんど入学してこない」という事実から、上で述べた偏差値の問題に気づいて、偏差値による得点調整を廃止した。同様に、かつてはこうした得点調整をしていた私立大学で、現在はほかの方法で行っているところもある。

正規分布の利用にも良しあしがある

偏差値は、数学的には「標準化」という考え方を用いているが、数学を使っているからといって「なんでも標準化して考えればよい」と思い込む「標準化万能」の意識はとても危ない。

(少々専門的になるが、例えば統計学の多変量解析で用いる「相関行列」は、同じ理由から取り扱いに注意が必要である)

一方で、以下のような「標準化」は問題がなく、興味ある結果が得られる。

日本将棋連盟の1967年から2007年のプロ公式戦では、後手が勝ち越した年は一度もなく、全8万61局の戦績では先手の勝率が5割2分6厘であった。ところが2008年に行われた2340局では、後手番の勝率が5割3厘と、初めて後手が勝ち越したのである。

勝率0.474(=1-0.526)のゲームを2340回行って、5割以上勝つ確率を、以下のようにして求めてみる。

これも「標準化」という作業を行う。二項分布B(2340, 0.474)というものを標準正規分布というものに近似させる段階で「標準化」を使うのであるが、それによって正規分布表を用いることができるようになる。

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