私立大文系入試、社会・数学で驚きの得点調整 「偏差値は得点よりも公平」は危険な思い込み
ここで、話は私立大学の文系学部(法、経済、文学部など)の入試へと飛ぶ。
私大文系の入試科目では、英語、国語のほか、社会と数学のどちらかを選択するというケースがよくある。社会はさらに日本史、世界史、地理、政治・経済などいくつかに分かれている。
受験生によって受験科目が異なる場合、合否を決める際に各科目の得点を合計しただけでは不十分である。大ざっぱにイメージしてもらうと、日本史の平均点が70点、世界史の平均点が60点だったとして、得点を単純に合計する場合、日本史を選択した受験生のほうが有利ではなかろうかと思えてくる。
そこで大学側は選択科目によって有利・不利が生じないように、受験科目ごとの偏差値を算出して、合否判定をしようと考えた。
そこで何が起こったか。社会科系科目と数学の試験の特性を踏まえつつ、具体的な例で示そう。
入学試験での社会科系科目と数学の得点を比べると、社会のほうが数学に比べて点数の散らばりが小さいことが普通である(要するに数学は0点もいれば100点もいるというふうに、大きくばらつくということだ)。一方、平均点を見ると、実はそれほど目立った違いがないことも普通である。
そこで、平均点はどちらも55点で、社会と数学の標準偏差(散らばり具合)はそれぞれ15点と30点の入学試験があったとしよう(標準偏差を求める式は本稿では割愛)。社会と数学のそれぞれについて、100点満点を取った受験生と25点だった受験生に対して算出される偏差値はいくつになるか。
同じ100点満点で、偏差値に大きな差も
計算結果を下記に示そう。
社会での25点に対する偏差値 =(25-55)/15×10+50 =30
数学での100点に対する偏差値=(100-55)/30×10+50 =65
数学での25点に対する偏差値 =(25-55)/30×10+50 =40
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