私立大文系入試、社会・数学で驚きの得点調整 「偏差値は得点よりも公平」は危険な思い込み

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試験を受けた集団の中で、自分がどれくらいの位置にいるかを知る目安として使いやすい「偏差値」。しかし、偏差値を絶対視して使うのは危険であるという(写真:もとくん/PIXTA)
生徒を偏差値で序列づけし、それだけでその生徒をすべて評価してしまうやり方は、「偏差値教育」として激しい批判を浴びた。半面、偏差値は試験を受けた集団の中で自分がどれくらいの位置にいるかを知る目安としては使いやすい。ただし、偏差値はデータを基に計算した客観的な数値だといっても、それを絶対視して使うのは危険である。『AI時代に生きる数学力の鍛え方』で、数学的な思考力を育むことの大切さを論じた著者が、私立大入試において、偏差値を利用した驚くべき得点調整が行われていた事例を紹介する。

自分の点数はみんなの中でどのあたりか

模擬試験でよく使われる偏差値は、受験者全員の得点を正規分布に近似して、自分の得点が全体の中でどのくらいの位置にあるかを表す指標である。

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偏差値を式で表すと

{(x-m)/s}×10+50

である。xは個人の得点、mは平均点、sは標準偏差である。

標準偏差とは、得点の散らばり具合をいう。

この式を見て、とりあえず「自分の点数、平均点と、みんなの点数がどのくらいばらついているかということから計算して、自分の出来具合を判断するんだな」とわかってもらえればよい。

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