K-POPが嫌韓ムードなのにやたら重宝される訳 日本の音楽番組でK-POPグループが目立っている

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また、今年はコロナ禍によって、多くの人々がリモート画面を見ることに慣れました。韓国に限らず海外在住のアーティストがテレビ番組に出演する機会も増え、例えば「ソウルのスタジオからの生中継」も決して珍しくありません。作るほうも見るほうも海外からの出演を受け入れやすくなっていることが、さらなるオファーにつながっているのでしょう。

虹プロとParkさんで好感度アップ

これまで挙げた3つの理由に加えて、今年新たに追加されたのが、「Nizi Project」によるK-POP全体の好感度アップ。「Nizi Project」は韓国の芸能事務所・JYPエンターテインメントと日本のソニーミュージックによる合同プロジェクトであり、現在のNiziUメンバーを発掘・育成しました。

今年1月にHuluでスタートしたオーディション番組「Nizi Project」の序盤はほとんど話題になっていませんでしたが、「スッキリ」(日本テレビ系)が繰り返し特集を組んで放送したほか、3月にYouTubeでの公開が始まったあたりからジワジワと人気が浸透。オーディションが佳境に入った4月には「虹のかけ橋」(日本テレビ系)という番組も加わり、「スッキリ」でもゴールデンウィークに集中放送するなど、K-POPファン以外の目にもふれる機会が増えました。

そのオーディションで候補者たちが歌い、踊っていた大半の楽曲はK-POP。ふだん聴かない人もK-POPの楽曲になじみができたことで、音楽番組を手がける各局のスタッフが起用しやすくなったのは間違いないでしょう。

さらにNiziUのプロデューサー・J.Y.Parkさんの人情味あふれるコメントも、K-POPグループ全体の好感度アップに貢献しました。強烈な嫌韓感情のある人を除けば、「音楽は別物だから問題ない」「音楽番組に出るくらいならまあいいか」というムードになっているのです。

ここまで「ファンの熱気とスポンサー受けのいい年齢層」「日本人メンバー増加と日本のレコード会社」「ハイレベルなパフォーマンス」「『Nizi Project』によるK-POPの好感度アップ」。複合的な理由が重なっているだけに、この傾向がすぐに変わることはないでしょう。音楽の世界において日韓の交流はますます盛んになり、音楽番組ではこれまで以上にK-POPグループの姿を見るようになりそうです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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