K-POPが嫌韓ムードなのにやたら重宝される訳 日本の音楽番組でK-POPグループが目立っている

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また、K-POPグループの楽曲は韓国語版だけでなく日本語バージョンがリリースされ、ソニーミュージックやユニバーサルミュージックジャパンなどの日本のレコード会社が関わっていることも、彼らの番組出演が多い理由の1つ。楽曲を販売するだけでなく、音楽番組に出演したり、番組のテーマソングや挿入歌にしたり、ライブを行うために、日本語バージョンを作っているのです。

熱心なファンほど韓国語バージョンを聴く人が多いものの、それだけでビジネス的なスケールは十分とは言えません。だからこそ日本語バージョンを作って売ることで日本企業も収益を得ていますし、日ごろ取引のあるテレビ局もK-POPグループを起用しているようです。

「プロが起用せざるをえない」スキル

3つ目の理由は、ハイレベルなパフォーマンス。近年、音楽番組に、「歌が下手なアーティストが増えた」「それどころか口パクが当たり前になってしまった」「ダンスもお遊戯会みたいなものばかり」などと厳しい声が飛ぶようになっていました。

その点、デビューの段階から徹底的に鍛え上げて「世界に送り出せるレベルの完成品を見せる」という方針で育成されたK-POPグループにスキル面での心配はありません。例えば、今年1月に日本でCDデビューを果たしたTOMORROW X TOGETHERは、「ダンスのシンクロ率90%超」を前面に出して人気を獲得しつつあります。

日本の音楽番組に携わっているプロフェッショナルたちがそんな彼らのスキルに気づかないはずがありません。むしろ音楽番組に携わっているからこそ、彼らの人気だけでなく、スキルも認めて起用せざるをえないのです。

また、日本のアイドルグループに「育てながら売る」「未熟なころから成長するまでの姿を見せる」というスタイルが多いことも、K-POPグループを起用する一因と言えるでしょう。これはスタイルの異なる日韓のグループをそろえることで、番組としてのバランスを整えることが可能になるからです。

作り手だけでなく視聴者側も、ネット動画の普及でMVなどを見る機会が増え、歌とダンスを見極める目が肥えてきました。K-POPグループのグローバルな活躍もスキルの説得力となり、日本のアイドルグループに物足りなさを覚える人々の心をつかんでいるのです。

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