「他人と体をシェア」36歳早大准教授の凄い研究

沖縄でスキー、シベリアでビーチを楽しむ未来

そこで新しく、筋肉が通す光に注目しました。体を動かすと、筋肉は膨らみます。膨らんだ筋肉に光を当てると、膨らんでいないときと比べて、光をより多く反射する。その性質を使おうと考えたわけです。

1つのセンサーの中に発光部と受光部を設け、受光部が受け取る光の強さによって、力の強さやジェスチャーを推定するという機能をアンリミテッドハンドに追加しました。

筋肉の動きを検知するファーストVRのアームバンド型コントローラー(H2L提供)

「ファーストVR」はアームバンド型のコントローラーを腕に巻くだけで、光学式筋変位センサーが腕の筋肉の動きを検出します。これを使えば、手の動きだけでVRやARを自在に操作できます。

――玉城さんは「H2L」の創業者です。研究者であると同時に起業家。そこにはどんなプラスがありますか。

研究者にとって「どうやって研究の寄与を世の中に引き渡していくか」は、いつの時代も変わらず重要な課題です。どんな形で社会に役立てるのかを見定めないで研究を続けていくと、研究の方向性が定まらなくなってしまうんですね。

研究者はみな、どんな研究なら世の中に寄与できるか考えあぐねており、異業種交流会などに参加してその点を考え続けているんだと思います。

研究者が企業に関わると「世の中に何が求められているか」がすごくよくわかる。これは研究者にとって、大きなメリットです。逆に、起業家が研究者の要素を持っていると、やりたいことが「どれくらい再現できるか、どれくらい新規性があるのか」などを技術的、科学的に分析しやすい。

研究者と起業家、両方をやることで科学的なイノベーションを起こせる新規性、再現性、寄与が実現しやすくなると私は考えています。

3つの制約がなくなる

――「ボディーシェアリング」(身体共有)という研究も続けているそうですが、これはどういう内容なのでしょうか。

ボディーシェアリングとは、ひと言で言うと「時間と身体、空間の制約がなくなる」ということです。

1つ目の「時間の制約がなくなる」は、過去を追体験できるようになることを意味しています。起きたことを口頭で伝えたり、文字にして書籍にまとめたり、映像にまとめてYouTubeにアップしたり。これらは今でも行われていることですが、そんな追体験が「時間的制約がなくなる」という意味です。

2つ目の「身体の制約がなくなる」は、バーチャル・リアリティー(VR)の中で、美少女のキャラクターになっていろんな経験をするようなことを指します。そういうふうに他の体を使って何かを体験することもできるようになってきました。

3つ目の「空間の制約がなくなる」は、例えば1カ所で生活しないといけない人が、一瞬で遠隔地の沖縄にいるような状態になることを意味します。

次ページ最終目標は空間的な制約をなくす
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