コロナ第3波「日本に決定的に足りてない対策」 無症状者への検査と院内感染への備えは不十分

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病院職員はコロナが流行するなかでも、働いて社会に貢献しているエッセンシャル・ワーカーだ。PCR検査の費用は公費負担の先進国が多い。このようなエッセンシャル・ワーカーには病院職員だけでなく、介護職員、公務員、警察官、保育士などが含まれることが多い。

ところが、日本では感染症法で公費負担が保障されているのは、感染者と濃厚接触者だけだ。厚労省は通知による拡大解釈で、コロナ流行地域の病院職員のPCR検査を行政検査として、公費を支出するとしているが、はたして、虎の門病院では検査を実施していたのだろうか。私の知る限り、コロナが大流行している都内の医療機関で、無症状の病院職員に対して、公費で定期的にPCR検査をしているところはない。

日本中で院内感染が蔓延する?

厚労省の意向と現場の実情に乖離が存在する。コロナ対策における喫緊の課題だ。解決するには、感染症法を改正し、検査対象を拡充するしかない。ところが、厚労省には、そのつもりはなさそうだ。臨時国会で感染症法改正は議論されず、来年の通常国会でも「県と保健所設置市の情報共有等」について改正されるだけだ。これでは、日本中で院内感染が蔓延するのは避けられそうにない。このまま無策を貫けば、介護施設などでも同様の事態に陥るだろう。

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コロナ第3波対策の肝は、無症状感染者を早期診断し、隔離することだ。

世界各国は試行錯誤を繰り返し、その結果を学術論文として発表している。日本に求められるのは、海外から学び、合理的な対応をとることだ。

非合理的な「我慢」を国民に強いるのは現実的ではない。毎日新聞11月19日朝刊には「密閉防止でやむない寒さ」という55才男性からの寄稿が掲載されたが、これははたして、どの程度科学的な根拠があるのだろうか。理性的で合理的な議論が必要だ。

上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長

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かみ まさひろ / Masahiro Kami

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

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