この現象は、コロナ感染拡大を予防するための社会の合理的な反応を反映している。11月10日、アメリカ・スタンフォード大学の研究者たちがイギリスの『ネイチャー』誌に発表した研究が興味深い。
彼らは、人々の動きがコロナの拡大にどのように影響したかを調べるために、アメリカのセーフグラフ社が収集した携帯電話の位置データを用いて、第1波の3~4月の間に、アメリカの10の主要都市で、人々がレストラン、教会、ジムなどの施設をどの程度利用したかマッピングした。
そしてこの期間内に、この地域内で発生した感染の位置データ、感染者数のデータなどと照らし合わせたところ、このような施設の利用者が感染拡大に大きな影響を与えていたことが明らかとなった。彼らが作成したモデルは、感染者数の増加を正確に予測したという。
この事実は、8月、イギリスで”Eat Out to Help Out”というイギリス版「Go To Eat」キャンペーンを実施したところ、レストラン利用者が急増し、コロナの感染を最大で17%増やしたこととも一致する。
飲食店でのクラスター発生の報告は少なくなった
ところが最近、状況は変わりつつある。ドイツの接触追跡データの分析によると、レストランは主要な感染源ではなかったし、日本の第3波の状況は前述のとおりだ。第1波で目立った居酒屋、カラオケ、屋形船のような飲食施設でのクラスター発生の報告は少なくなった。
これは飲食店の利用者が減ったからだろう。11月6日に公開された9月の家計調査によれば、2人以上の世帯において一般外食は前年同月比で25.2%減少している。飲食店、とくに接待を伴う飲食店の利用者が激減しているのだろう。
前出のスタンフォード大学の研究では、レストランなどの施設の利用者と感染者数は相関していた。彼らはレストランの利用が20%に制限されれば、感染者数は80%以上低下すると議論している。
日本でも、飲食店の利用者が大幅に減ったことで、このような施設を介したクラスターの発生が減った可能性が高い。飲食店の利用者が減ることで、隣の客との距離が広がり、飲食店内のソーシャル・ディスタンスが強化されるため、第3波では、飲食施設でのクラスター発生は抑制されるだろう。
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