コロナ第3波「日本に決定的に足りてない対策」 無症状者への検査と院内感染への備えは不十分

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これは、コロナ対策にとっては吉報だが、飲食店経営者にとってはたまらない。ただ、飲食店の利用者の減少は、コロナへの感染を危惧する人たちの自主的な反応だ。「Go Toキャンペーン」などの形で利用を促進しても、その効果は限定的だ。コロナの流行が拡大する北海道では、11月10日に販売を開始したGo To イートプレミアム付き食事券は、11月16日現在で発行済みの100万冊のうち、16万冊しか販売されていない。

飲食店の利用者を増やすには、「安全」であることを示さねばならない。理想的には、コロナの流行を抑制することだが、次善の策としては、検査で陰性の客だけ利用できるように配慮してはどうだろう。精度のいい簡易検査を開発し、入店前にチェックすることも考えられる。その費用を公費で負担すればいい。

医療機関や介護施設の院内感染対策が肝

では、第3波で最重視しなければならない点は何だろうか。私は医療機関や介護施設の院内感染対策と考える。11月16日、虎の門病院(東京都港区)は、職員や患者11人が集団感染したと公表した。血液内科病棟で死亡者も出ている。11月20日には、アメリカのメイヨークリニックで、900人の集団感染があったことが明らかとなった。

いずれも日米を代表する巨大病院だ。最高レベルのスタッフと医療設備を備えている。感染対策も最高レベルだ。それでも院内感染を防げなかった。

私が注目するのは、個人経営のクリニックより、このような大病院で集団感染が発生していることだ。両者の違いは職員数だ。個人クリニックの職員は多くて10人程度だが、大病院の職員は1000人を超える。アメリカ海兵隊の研究で示されたように、この中には少なからぬ無症状感染者がいるはずだ。

このような医療機関では、マスクや防護具は使用しているだろうが、病床はいつも満床だろう。飲食店で利用者が減ることで、はからずも「ソーシャル・ディスタンス」が強化されたようなことは期待できない。無症状感染の職員がいれば、院内感染へと発展するリスクが高い。

コロナ対策でやれるとすれば、感染地域の病院職員に対して、定期的にPCR検査を実施することだ。まさに、アメリカ海兵隊が試みようとしていることだ。

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