日本人を追い詰める「逃げる=悪」という考え方 執着を流して「心をリセットする」方法
もちろん、何十回も転校や転職を繰り返すなら、別の問題があるのかもしれないと考えるべきですが、心身に苦痛を感じてまで、無理にその場にとどまることはありません。
私たちには、長年の教育によって「石の上にも三年」という道徳的な考えが染みついています。苦しいことも我慢して、苦境を乗り越えるのは大事なことですが、そこで死を考えるほど追い込まれるくらいなら、もうやめてもいい。ほかにも、学校や会社はたくさんあるのですから。
自分や子どもにとって、本当に大切なものは考えるタイミングなのではないでしょうか。いちばんよくないのは、「勝ち負け」や「プライド」「体面」などから、その場にとどまることです。自信がないからこそ、そうした判断を続けてしまうこともあります。でも、「負けたと思われたくない」「できない人だと思われたくない」という思いだけで、その場にい続けることは無意味です。
苦しい気持ちは、我慢しようとしても消えないものです。こじれた人間関係によって自分の心が苦しくなる、生きていくのがつらい、と感じたら、まずはその場を離れてみることも大切です。
フォロワーや「いいね!」はあなたの存在価値ではない
ところで、インターネットが日常生活の一部になった今、SNSの書き込みに一喜一憂する人も多いことでしょう。ネットの書き込みを見ているうち、人間不信になってしまったという方、書き込みを苦にして命を断つことを選んでしまった方もいると言います。
SNSはあくまで「仮想」の世界です。もちろん、SNSの知り合いには、実際の知り合いも友人もいるでしょう。でも、その情報が“盛られている”こともありますし、自分の本質とは関係ないところで架空の自分をデザインしていることもあります。
それなのに、それを見て自分と比べて嫉妬したり、自分にとって不快な書き込みを見て腹を立てたりする人は少なくないようです。そんなものをいちいち気にしていたら、身が持ちません。SNSやインターネット、テレビ、本や雑誌……どれも、リアルな情報ではありません。情報としては必要かもしれませんし、多様な考え方やスタイルの参考にする程度は結構なことだと思います。
でも、あくまで材料の1つだということを忘れないでください。SNSやネットによって、いちいちイライラしたり悔しい思いをしたりするなら、いっそのこと、そうしたものはやめてしまったほうがいいでしょう。せめて、見る回数を減らすとか、余計な投稿はしないとか、自分の依存度を徐々に減らしていくことです。