風邪でもないのに「せきやくしゃみ」が出るワケ その症状「寒暖差アレルギー」かもしれません

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それでは、この「血管運動性鼻炎」を予防するにはどうすればよいのでしょうか。この疾患は寒暖差によって起こる疾患ですので、身体が感じる温度差を小さくすることが有効です。

秋冬であれば屋外に出るときは血管を冷やさないよう、とくに太い血管の通っている人体の3つの首、すなわち首・手首・足首を覆うことで寒さを軽減することができます。首ならマフラー、手首なら手袋、足首ならレッグウォーマーや靴下がその例です。また、身に着けるものとしてマスクの着用によっても鼻が感じる冷気を軽減することが可能です。

逆に屋外が暑い春夏は、屋内がクーラーによって冷やされているため、膝掛けや羽織りものによって温度差への対策ができます。

これに加えて、冒頭でお話ししたような、屋外から会議室などの移動の際は、時間の余裕をもって入室することも有効です。温度差を感じてすぐは鼻水などが出るかもしれませんが、(個人差はあるものの)数分程度で症状は治まります。大切なミーティングを鼻水やせきの音で遮らないためにも、早めの行動を心がけましょう。

日々の生活の見直しで予防できる

生活習慣の見直しから行える予防法としては、運動によって筋肉量を増やすことが効果的です。体内で産生される熱量が少ないと体温調節がうまくできず、結果として血管運動性鼻炎になりやすいと言われています。

コロナ禍の在宅勤務で筋肉量が落ちていると感じる方は、軽い運動やウォーキングを取り入れましょう。規則正しい生活を心がけることも重要です。食生活ではビタミンB1(肉類)やビタミンC(イチゴなど果物)、カルシウム(牛乳、小魚)などが自律神経を整えるうえで有効とされています。

それでも症状が気になる場合は、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。花粉症や風邪であるか、鼻炎かどうかがよりハッキリわかるだけでなく、処方薬によって症状を抑えることが可能です。基本的な治療は対症療法であり、症状が軽ければ市販の点鼻薬でも効果がありますが、受診することで、抗ヒスタミン薬や漢方薬などの内服薬をはじめ、副腎皮質ホルモンを含む点鼻薬などを適切に処方してもらうことができます。

さらに、この疾患は寒暖差のない季節や環境であれば症状が落ち着く傾向にあるため、どのようなタイミングで薬を内服すればいいか相談することもでき、不必要な薬の使用を防ぐこともできます。

「血管運動性鼻炎」は一般的にあまり有名でない疾患であり、医療の現場においても風邪など、ほかの原因を除いてはじめて診断されるため、診断や治療に時間がかかることもあります。

しかし、日々の生活を見直すことでしっかりと予防できるものでもあります。年末年始に向けて寒さが厳しくなる折、生活習慣を整えて健康な毎日を送りましょう。

上原 桃子 医師・産業医

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うえはら ももこ / Momoko Uehara

横浜市立大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。身体とこころの健康、未病の活動に尽力し、健康経営に関する医療系書籍の編集にも関わっている。医師と患者のコミュニケーションを医療関係者、患者双方の視点から見つめ直すことを課題とし、とくに働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

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