「産後うつ」女性の不安があまりにも危ないワケ 虐待や自殺も、子育てを支える仕組みが必要だ

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産後の女性、あるいはそのパートナーにとって産後うつは決して他人事ではない。

厚生労働省の研究班によると、2015年~2016年の間に産後1年以内に亡くなった妊産婦の死因で最も多かったのは自殺で、がんや心疾患による死亡数よりも多かった。

事実、産後の女性は妊娠をしていない女性よりもうつ病を発症しやすく、産後うつの罹患(りかん)率は10~15%にものぼる。だが、宗田さんは「それは氷山の一角にすぎない」と述べる。それは、産後うつの一歩手前の状態を抱えていながら、適切なケアにつながっていない母親が多いからだ。

そこに来て、このコロナ禍だ。

すでに女性の自殺が急増していることが危惧されているが、産後の母親に関しても精神的な負担が増してきている。日本周産期メンタルヘルス学会の調べでも、「本来のサポートを受けられない」「感染が不安で外出受診ができない」「不安で憂鬱になった」といった相談が増えているという。宗田さんはこれに危機感を抱く。

コロナ禍で子育てママの環境はかなり深刻に

「わが子を感染させてはいけないと外出を控えている母親がいます。子どもと2人きりでいる時間がますます増え、孤立が進む。しかも、そういう母親に対するサポートも感染予防のため一部、ストップしていると聞いています。コロナ禍で子育て中の母親の環境は、かなり深刻になっていると思われます」

ここで改めて産後うつとはどんな病気なのか、宗田さんに解説してもった。

「産後うつはうつ病の1つで、出産後1カ月ぐらいたってから表れます。ただ、これは出産直後からの育児ストレスや不安がうつ病という病的なかたちになって表れるまでだいたい1カ月ぐらいかかる、ということです」

主な症状は、気分がずっと沈み込む、時々泣いてしまうなど。こうしたうつ病の症状に加え、子どもに対する心配や不安、焦燥感、母親としての自責感や自己評価の低下など、母子関係にまつわる症状が表れるのが特徴的だ。

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