「産後うつ」女性の不安があまりにも危ないワケ 虐待や自殺も、子育てを支える仕組みが必要だ
症状は精神的なものに限らない。頭痛、吐き気、肩凝り、便秘、下痢、しびれといった体の症状として表れることも。実際、亀田さんは頭痛や腰痛などにも悩まされた。
「体の症状は育児疲れによるものだから仕方ないと決めつけないで。なぜなら、出産によるダメージや育児の疲れが体の症状となって表れているのか、それともうつ病による体の変調なのか、正直なところ区別ができないからです」と宗田さん。
・気分がずっと沈み込む
・時々泣いてしまう
・日常生活の活動に興味がもてない
・「自分が悪い」と感じる
・毎日のように疲労感が続き、気力が湧かない
・自分を価値のない人間(母親失格)だと思う
・家事や育児に集中できない
・赤ちゃんのことが過剰に心配でたまらない
・赤ちゃんのことに無関心になる
・物事(家事)にうまく対処できない
『これからはじめる周産期メンタルヘルス』(南山堂)宗田聡著より一部改変
マタニティーブルーとはまったく違う
ちなみに、産後うつと混同しやすいのがマタニティーブルー。まったく違うものだという。
「マタニティーブルーは出産直後から10日以内ぐらいに表れる、一過性の体調変化です。出産によるホルモンバランスの乱れが原因で、不眠、食欲不振、疲労、頭痛、涙もろくなるといった症状が一時的に出るものの、自然に治まります。対して産後うつは、出産した女性のパートナーが発症した例もあるように、大きな環境変化が原因です」
産後うつは心理療法を中心とした治療で早期に対応できれば、比較的治りやすい病気といえる。だからといって軽視できるものではない。病気によって育児放棄や虐待が起こるおそれがあり、母親だけでなく、赤ちゃんの健康や生命にも危険が及びかねないからだ。
産後うつについても、なりやすい性格が知られている。いわゆる、まじめ、几帳面といった性格なのだが、この性格傾向も近年、変わってきているようだ。宗田さんが気にしているのは、「外来で妊婦さんや子育て中の母親と話をすると、“みんなはどうしているんですか?”と聞かれることがとても多い」ということ。
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