YouTubeが実現した「テレビと真逆」の動画革命 アメリカ本社の最高ビジネス責任者に直撃

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ユーチューブ本社のナンバー2としてコンテンツ戦略を統括する最高ビジネス責任者のロバート・キンセル氏は「ユーチューブとネットフリックスはお互いを排除するものではない」と語る(写真:Google)
アメリカのグーグル傘下の動画共有プラットフォーム「YouTube(ユーチューブ)」。世界で20億人以上のユーザーを引きつけた理由はどこにあるのか。ユーチューブ本社のナンバー2としてコンテンツ戦略を統括するのが、最高ビジネス責任者のロバート・キンセル氏だ。
キンセル氏はアメリカのケーブルテレビ放送大手HBOや動画配信大手ネットフリックスを渡り歩いた後、2010年にユーチューブに入社した。ユーチューブには誰でも動画を投稿できる。一方で最大の収益源は広告だ。ユーザーと広告主の両方に振り向いてもらうには、質の高い動画コンテンツが必要だ。ユーチューブにおけるコンテンツ戦略とは何なのか。キンセル氏に話を聞いた。

テレビ局とは真逆のモデル

――ユーチューブがここまで成長した理由は何なのでしょうか。

ユーチューブという名前の由来は、世界中で「あなた(You)」が「ブラウン管(Tube)」に何でも投稿できる、つまり開かれた場だということ。ちょっとしたものを時々投稿する人もいれば、つねに投稿し続けるクリエーター(ユーチューバー)も出てきた。スマートフォンの普及もあり、驚くほど幅広いコンテンツが積み重なっていった。

これまでに類を見ない量のコンテンツがあれば、視聴者を引きつける。放送枠が1日24時間に限られ、少ないコンテンツでできるだけ多くの人に訴求しなければならないテレビ局とは真逆のモデルだ。ユーチューブでは投稿者が無理に幅広い視聴層にアピールする必要がないからこそ、多種多様なコンテンツが貯まっていった。視聴者は自分の興味に合ったものを楽しむことができる。

『週刊東洋経済』11月9日発売号の特集は「YouTubeの極意」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

視聴者とクリエーターの両方がそろえば、広告主を取り込むのが容易になる。視聴者へのリーチを確保し、(マーケティングの)目標を達成できる。そうして好循環が回り出す。

これは簡単にできることではない。ものすごい量のアップロードを可能にするには、世界中のあらゆる場所にコンテンツを格納し、配信速度を改善しなければならない。これには多額の費用がかかる。

――キンセルさんはユーチューブに入社する前、アメリカの動画配信大手ネットフリックスでコンテンツ調達の責任者でした。ユーザーがコンテンツを投稿するユーチューブと、プロが制作するネットフリックスは、過去10年でともに急成長を遂げました。なぜこの2つは共存できたのでしょうか。

ネットフリックスは従来のテレビ番組や映画の形に近い。だが(DVDから)インターネットに移行したことで、コンテンツの量と幅が格段に広がった。彼らなりのコンテンツの届け方を考え、ユーザーが使いやすくすることで、「イッキ見(bingeing)」という習慣を根付かせた。

だから(いつでも好きなコンテンツを見られるという意味で)ユーチューブと近い。もっとも、消費者が求めるのは「ストーリー」であり、フォーマットは関係ない。ユーチューブとネットフリックスはお互いを排除するものではない。むしろ動画の世界における素晴らしい共存の一例だ。

本記事の続きはこちら。このほかに『東洋経済プラス』に掲載しているインタビュー全文版では、「クリエーターの拡大戦略」「広告主のユーチューブに対する見方」「日本市場の特異性」などについて詳しく語っています。
中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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