公的年金保険の根本原則を知っていますか

「消費の平準化」を理解すればスッキリする

社会保険制度という仕組みは国民の間で正しく理解されているとはいえない状況だ(写真:UYORI /PIXTA)

検索エンジンに、「未納 結婚 親」などと入力しようものなら、「愛する彼の両親が年金の未納者だったのですが、結婚を考え直した方がいいでしょうか?」との質問がヒットしたりする。回答は、想像に任せるが――愛は一時のものだしなどのコメントもちらほら……。他方、結婚する彼の母親が共働きであるということは、彼が、働く女性への理解があるということのみならず、両親に相応の年金があるために大きくプラスに評価される時代になってきているという話もある。

社会保険方式が選ばれたことの意味

社会保険料を拠出していなかったら給付はない。公的年金が創設されるときには、だいたい、保険方式か租税方式かの選択肢が意識される。この選択で、ほとんどの国で社会保険方式が選ばれることになるのは、市民社会での基本原則、「自助」の精神との整合性が高いからであった。

ちょっと気になる社会保障 V3』にも書いているように、「自立して生活している人たちの所得の一部を自立して生活している間に拠出してもらう『自助の強制』という発想は、市民社会の倫理観の基礎をなす自助の思想になじみやすいもの」(53ページ)だったのである。

皆年金を誇る日本の公的年金制度の被保険者のうち、約80%が加入する厚生年金保険制度は、「1人当たり賃金が同じ世帯において、負担と給付は同じになる」ように設定されている。比叡山の根本中堂に匹敵する大切なものという意味を込めて、これを根本原則と呼んでおり、この原則は、どの世帯類型にも当てはまる。

次の図をみてもらいたい。これは、2019年財政検証の資料である。

この図には、3つの世帯類型が描かれている。

夫のみ就労の世帯
夫婦共働き世代
単身世帯

それぞれ、世帯1人当たり賃金は20万円なのだが、「夫のみ就労の世帯」(いわゆる第3号被保険者がいる世帯)では夫が40万円を稼ぎ、「夫婦共働き世帯」では20万円×2、「単身世帯」は1人当たり20万円である。これら3つの世帯類型において、負担と給付は同じなのである。一番上にある「夫のみ就労の世帯」の図で、右側の図、すなわち、報酬比例で給付される厚生年金の真ん中に破線が引かれているのは、「知ったらびっくり!?公的年金の『3号分割』」(2020年10月12日)で紹介した、問答無用の離婚分割が描かれている。

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