NTTが「GAFA対抗」なりえる為に欠かせない条件

ドコモ完全子会社化の先に見える展望と課題

デジタルプラットフォーマーを目指すNTTの戦略を読み解きます(撮影:風間 仁一郎)

2020年9月29日、NTTによるNTTドコモ完全子会社化が発表されました。1992年に分離した両社が、総額4.3兆円もの巨費が投じられたTOB(株式公開買い付け)により、28年ぶりに1つの会社に戻ることになります。

折しもそれは、菅新政権の重要政策として「携帯料金の値下げ」が改めて注目を集めていたタイミングでもありました。

官房長官時代の2018年に「携帯料金は4割下げられる」と発言した菅義偉氏の首相就任。そこへきて政府の資本が入るNTTがドコモを完全子会社化。財務基盤が強固となり、上場コストもなくなれば、携帯料金を値下げするだけの余力もドコモに生じるはずです。「政府が背中を押したTOB」との見方が大勢なのはそのためです。

巷間言われているように、今回のドコモ完全子会社化には、携帯料金値下げ圧力への対応という守りの側面があるのはおそらく事実です。ここで簡単に、政治と携帯キャリアのせめぎあいの歴史を振り返っておきましょう。

官房長官時代の菅首相が「携帯料金は4割下げられる」と発言したのが2018年のことです。「携帯大手3社が寡占状態にあり競争が十分に働いていない」とし、総務省はドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクというそれまでの通信キャリア3社に加えて楽天モバイルを認可することで競争を促しました。

2019年10月には改正電気通信事業法(改正法)が施行されました。ここで定められたのが「違約金の上限1000円」と「端末値引きの上限2万円」です。それまで携帯大手は、ほかのキャリアへ顧客が流れることを防ぐために多額の違約金を課しており、それが「割安な他社プランに移行する」消費者の行動の妨げになっていました。

また通信契約と端末をセット販売することで「0円端末」に象徴される大幅な値引きもしていたのです。改正法はそれらを禁じ、料金プランのシンプル化と通信料金の値下げへの道筋をつけようとするものでした。

しかし携帯料金の値下げは期待されていたほどには進んでいません。楽天モバイルの本格参入は遅れ、ドコモ、au、ソフトバンクの携帯大手3社による寡占状態が続いているのが現状です。

グループ再編と同時に業界の垣根を越える大再編

もっとも「ドコモ完全子会社化」がNTTにもたらすものは、携帯料金の値下げのみでは当然ありません。結論を先に述べるなら、ドコモ完全子会社化はNTTグループの再編であると同時に、業界の垣根を越えた大再編の流れの中に位置づけられるもの。さらにいえばNTTが、GAFAに対抗する新たなプラットフォーマーとしてデジタル覇権を握るための布石と見るのが妥当です。

NTTドコモといえば「iモード」を生み出すなどイノベーションによって携帯電話市場を牽引してきた立役者です。しかしiPhoneの登場以降は存在感が薄れ、国内市場の成長も頭打ちに。KDDI、ソフトバンクらの台頭によりシェアは37.3%まで低下(総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」2020年3月末時点)、営業利益を見れば携帯大手3社の中では最下位に甘んじています。

ドコモのこうした競争力低下も再編の背中を押した一因でしょう。ドコモ完全子会社化に際してのプレスリリースにも、その目的として「NTTコミュニケーションズ・NTTコムウェア等の能力を活用し、新たなサービス・ソリューションおよび6Gを見据えた通信基盤整備を移動固定融合型で推進し、上位レイヤービジネスまでを含めた総合ICT企業へと進化」を挙げています。

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