NTTが「GAFA対抗」なりえる為に欠かせない条件 ドコモ完全子会社化の先に見える展望と課題

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徐々に明らかになるNTTの大戦略。先に触れた「O-RAN(オーラン)」と「IOWN(アイオン)」という2つの技術をもう少し詳しく解説します。

O-RANとは、簡単にいうと、無線アクセスをオープン化する国際規格のこと。NTTドコモは世界に先駆けて5G用にO-RAN準拠の基地局を採用しました。これまで携帯電話のネットワークは、ノキア、エリクソン、ファーウェイという3大通信機器ベンダーによる寡占状態にあり、すべての機器は特定の通信機器ベンダーに垂直統合されていました。

そのため通信キャリアは特定のベンダーの機器を一括採用するほかない状況に。通信キャリアにとっては基地局整備の自由度がないために他社との差別化が難しく、コストを下げる余地もないのが悩みの種でした。これがO-RANになるとさまざまなベンダーの機器を組み合わせることが可能です。これにより携帯キャリアにとっては基地局整備の自由度が高まり、5G等のネットワークを柔軟に構築できます。

さらにいえばノキア、エリクソン、ファーウェイ以外の新たな事業者が基地局設備に参入することも可能に。当然ながら、NTTグループもNECと手を組み参入することになるでしょう。言わばNTTは、5Gネットワークの覇権争いというゲームのルールを変えようとしているのです。

一方、IOWN(アイオン)は5Gの先、6Gを見据えた技術。2030年前の実現を目指すという壮大なものです。ごく簡単にいうと、アイオンは光技術を用いて大容量ネットワークの超低消費電力化、超高速処理を実現する新しい情報通信基盤のことです。

今のネットだけでは実現できない世界を実現

NTTのアニュアルレポートには「IOWNは、今のインターネットだけでは実現できない新たな世界を実現する革新的な構想」と書かれています。その「新たな世界」には、NTTが目指すスマートシティの一端が示されているはず。NTTの元副社長であり、現・NTTドコモ社長の井伊基之氏は「カギとなるのは『未来予測』」だと書いています。それも、現行の未来予測とはケタ違いの正確さと迅速さの未来予測です。

「例えば公共の場所で、どれだけの人数がどのように動くのかを予測する人流予測システムがある。ショッピングセンターなどでは、それに基づいて空調を制御したり、危険を察知したりして活用している。

これは各ポイントに設置されたセンサーから送られてくる人数、室温、エネルギー消費量などのデータを集めて演算処理を行い、予測値を出力する仕組みだが、IOWNが導入されれば、より迅速で正確な予測により、さらにきめ細かな空調制御ができるようになるだろう。省エネ効果もいっそう高まるだろう。

また、不審物や危険な場所の検出などをすばやく予測したり、挙動不審な人物を瞬時に察知したりできるようにもなる。予測に基づき未然に対処することで、事故や事件の防止効果も高まるだろう」(『IOWN構想 インターネットの先へ』澤田純、井伊基之、川添雄彦著、NTT出版)

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