NTTが「GAFA対抗」なりえる為に欠かせない条件 ドコモ完全子会社化の先に見える展望と課題

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そこで私が期待したいのは、5G時代に適応した、新たなプラットフォームです。周知のとおり、5Gの特徴である高速・大容量・低遅延の通信は、ロボットアームの遠隔操作や、AR/VRコンテンツのリアルタイム配信、自動車の完全自動運転など、さまざまなサービスを可能とします。中国や韓国が先行していましたが、日本でも2020年3月から提供が始まっています。

ところが、足元では5Gは早くも幻滅期に差しかかっているように見えます。つまり過度な期待が落ち着いてくる時期です。基地局増加に膨大なコストがかかるため5Gのエリア展開は都心部でも進んでいません。

それ以上に問題なのは、5G特有のサービスがいまだ確立されていない点です。AR/VRにしても遠隔操作にしてもテクノロジー自体が進化の途上にあります。3Gから4Gへと移行したことで、モバイルで視聴できる動画は一気に普及しました。YouTubeもTikTokも、3G時代には考えられなかったことです。

同様に「4G時代は考えられなかった」5G特有のサービスが、いまだ見えません。そして筆者がNTTの活路となる可能性を見ているのはそこです。もとよりNTTは、高臨場ライブビューイングや、完全自動走行など遠隔操作実現に向けた取り組みを進めてきた会社でもあります。

数年後には、5G特有のプラットフォームがスマホないし、スマホを代替するデバイスの中に誕生しているはずです。それをNTTが実現できないか。インフラを構築するBtoB事業者ではなく、直接的に自らがサービス・プロバイダーとなって、消費者との接点を確保できないか。

GAFAにはできないサービスのヒントは、すでに示されています。例えば、広告に依存しないプラットフォームです。

前述のとおり、NTTはラスベガスのスマートシティ化を推進するにあたって、「データは市のもの」としてデータの所有権を主張しませんでした。これは、とくに売り上げの大半を広告収入に依存しているグーグルやフェイスブックにはできないこと。彼らはデータを基にしてユーザーごとに最適化された広告を表示することで広告収入を得ているのです。個人データがとれなければ身動きがとれないビジネスモデルとも言えます。

一方、NTTは広告に依存する必要がないビジネスモデルであるため、データを手放すことも可能です。そこでヒントになるのが、2016年にリリースされたブラウザ「ブレイブ(Brave)」です。

ブレイブの特徴は、ユーザーがデジタル広告やトラッキングをブロックできること。ブレイブの創始者ブレンダン・アイクは、現在の広告市場はグーグルやフェイスブックらメガテック企業が広告をめぐるシステムの中心にあり、ユーザーやパブリッシャーを差し置いて利益を独占していることを問題視していました。

その意味で、広告をすべて排除するわけではなく、ユーザーが見たい広告を見たい権利も残されているブレイブは、個人をエンパワーメントするツールという見方もできます。

このように、サービス・プロバイダーのレイヤーにおいても、GAFAに対抗しうる道は残されています。すなわち、データは個人のものとし、広告に依存しないサービス。5G特有のサービスが模索されている今だからこそ、いち早く構築できれば、覇権争いにおいて大きく前進します。それは「2030年までに目指す」というIOWNに先行するもの、今目の前にある5Gにおける覇権争いのユースケースとして、進めるべきものでしょう。

BtoB事業者としての誇りを捨てられるか

最後に強調したいのは、従来からのBtoBという発想、インフラ事業者としての企業DNAのままでは、GAFAに勝てないということです。アニュアルレポートを見ても、NTTの経営陣の肉声を聞いても、顧客、消費者、カスタマーエクスペリエンスといった言葉がほとんど見当たりません。

口を開けば「地球上で最も顧客第一主義の会社に」と繰り返すアマゾンの経営者の発言、顧客やカスタマーエクスペリエンスがキーワードとなっているGAFAのアニュアルレポートとは対照的です。技術は別にしても、こうした企業DNAのままでは、5G時代のプラットフォーム、スマートシティ時代のプラットフォームで覇権を握るのも難しいはずです。

ここではBtoB事業者としてプライドは脇におき、消費者起点、顧客第一主義へと企業文化を刷新する必要があります。NTTドコモの完全子会社化がそのきっかけになることを願ってやみません。

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