「エクリプスクロスPHEV」から見る三菱の再起 暮らしの安心という新たなクルマ選びの基準

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そうしたことを思い出しながら、走行モードをターマックに切り替えた。するとアクセルペダルやハンドル操作への応答がより早くなるとともに、S-AWCの制御も変わり、力強くグイグイと前進させ、カーブでは鋭く切れ込むように曲がった。その様子は、ガソリンエンジン車を運転したときのように活気あふれるものだった。

エクリプスクロスPHEVは、電動化によって上質かつ重厚な走行感覚と、走行モードの切り替えを利用することで俊敏で壮快な運転も味わえる、1台で2色の運転特性を持っているのである。クルマの電動化は、環境適合のためと思われているが、それが第一の目的であるにしてもモーターの出力特性と、それを活かした電子制御による操縦性の切り替えによって、幅広い魅力を備えたクルマにすることができる。

格上のアウトランダーPHEVとの走行比較

エクリプスクロスPHEVと同じショートサーキットで、格上のアウトランダーPHEVも比較試乗することができた。アウトランダーPHEVは車体寸法も大柄になり、動きはエクリプスクロスPHEVよりゆったりした応答になるが、逆に長距離移動などではその落ち着きが、いっそうの快適さをもたらすだろう。

ミッドサイズSUVのプラグインハイブリッドEVとして高い人気を誇るアウトランダーPHEV(写真:三菱自動車工業)

一般にSUVというと1つの印象があるかもしれないが、三菱自動車のアウトランダーPHEVとエクリプスクロスPHEVは、車格の違いに加え、モーター駆動を活かした走行モードの切り替えなどにより、それぞれに特徴を備え、SUVというカテゴリーにとらわれない多彩な魅力を味わえた。

三菱自動車は、2000年以降のトラック・バスによるリコール隠しや、軽自動車の燃費不正問題など、威信を傷つける不祥事を続け、経営に影響が及んだ。一方で、2009年には世界初の量産市販電気自動車であるi-MiEVを発売し、2005年に発売したアウトランダーがSUV人気を押し上げた。アウトランダーはフランスのPSAへ供給され、現地でプジョー4007、シトロエン・Cクロッサーとして販売された。2013年には2代目アウトランダーにPHEVを追加している。

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