三菱自動車が11月21日に発表した新型「デリカD:5」(発売は2018年度内を予定)は、マイナーチェンジながらフルモデルチェンジばりのフェイスリフトを行った。そのあまりにコンセプトカー然としたルックスは賛否両論渦巻いており、見た目だけで拒否反応を示すユーザーもいるほどだ。
しかし、今回プロトタイプ車に試乗する機会に恵まれ実際に体感してみると、その個性的なルックスなど気にならなくなるほど中身が進化していることに驚かされた。もし、アクティブにミニバンを使いたいと考えているのであれば騙されたと思って一度試乗をしてみることを強くオススメしたい。個性的なルックスまでもが「あばたもえくぼ」状態になるかもしれないからだ。
大きく変更を受けたパワートレイン
新型デリカD:5の(エクステリア以外の)いちばんの変更点はパワートレインだろう。搭載される2.2Lコモンレール式DI-Dクリーンディーゼルエンジンは「4N14」というエンジン型式こそ変わらないものの、フリクションの大幅低減、燃焼室の変更、次世代燃料インジェクターの搭載といった大幅な改良を実施し、さらにAdBlueを使用する排出ガス浄化システムである尿素SCRシステムを新たに採用するといった大掛かりな変更を受けている。その結果、最大トルクは従来の360N·mから380N·mと20N·mもの向上に成功しているのである。
そしてそのエンジンに組み合わされるミッションも、国内では初採用となる8速オートマチックとなっている。従来モデルは6速だったため、一気に2速増えたことになるが、これにより1速をローギヤード化して悪路走破性の向上を果たしながら、トップギヤをハイギヤード化して高速燃費の向上を果たすといった、本来は相反する性能を両立させている。
トルクアップしたエンジンに多段ギヤのミッションの組み合わせは、加速時にはポンポンと小気味いいシフトアップを見せ途切れることのない加速感を楽しめ、減速時はパドルシフトを併用してシフトダウンをすることでブリッピングをして回転を合わせてくれる。積極的な減速感をも楽しむことができるのだ。
もちろん、エンジンフィールは旧態依然としたディーゼルエンジンとは別物のまるでガソリンエンジンのようなスムーズで軽快なもの。そのため、4200回転という低いレッドゾーンがもどかしく感じてしまうほどだった。
マイナーチェンジとなる新型デリカD:5ではあるが、フロントマスクの変更に伴ってなんとフロントエンドの骨格を大幅に変更している。その結果フロント周りの剛性をアップさせることを実現し、リニアな操舵感を生み出しているというわけだ。
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