命と経済の両立は難局、雇用調整助成金に課題 実体経済に気をつけるべきシグナルが出てきた

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次のチャートがこれからのポイントなんですけれども、これはアメリカの個人消費支出(青い線)なんですね。

名目個人消費支出はV字回復しているが、過去の延長線には届いていない(画像は動画より)

赤い線(過去の延長線)が今までのペースでいくとこれぐらい消費が増えるというものですね。

(青い線は)コロナで思いっきり下に落ちてV字で回復してきている。これがあの赤い線まで届けばいいんですよ。届けば赤い線を前提にいてくださっている労働者の方々とか、持っている店舗とかに何も手をつける必要がないんですけども、届かなければ、やはり人や店舗を減らさなくてはいけないということが起こりうる。

届くか届かないかという見極めを、企業経営者は今しないといけない。そういうタイミングに差し掛かっているのかなと思います。

――その回復というのは、どうご覧になっているんでしょうか。

やはり月を追うごとに鈍ってきている。どんな指標で見てもいいですよ。アメリカの個人消費で見てもいいし、GDPでもいいし、いろんな統計で同じような画になっていますので、もともとのペースを自分なりに計算して、例えば、これだったら月0.3%増えるとかなんですね。

それと同じ伸び方になってきてしまうと、青い線と赤い線が平行線になるんですよね、届かないまま。そうすると調整をしなくてはいけない。それを「ストック調整」と呼んでいるのが今のポイントですね。

雇用調整助成金を使うように指導すべき

――労働者数についても少し詳しく解説いただけますか。

労働者数は先ほどの画なんですけれども、雇用調整される可能性のある人がいるということですね。これに関していうと、雇用調整助成金を政府が使えるようにしているんだけれども、意外に雇用調整助成金を使わないまま、雇用調整に入るという事案も出てきているんですね。

ですから、もう少しきめ細かく、事業所に対して雇用調整助成金を使うように指導することが必要なんだろうと思います。

感染者数(横軸)が拡大すると解雇見込みの労働者数が増える(画像は動画より)

これは横軸に感染者数をとって、縦軸に解雇見込みの労働者数をとっているわけです。命と経済の両立を図るということになるんですけれども、感染が拡大すれば失業者が増えるという関係にあるので、両方厳しくなっていっているというのが今の状況ですね。

そのペースを、どちらを重視するかということで議論が行われていると思うんです。

例えば最初の頃でいうと、横軸は2万という数字になっていますね。感染者数が2万人。これは大変だ、あの感染症をこれ以上は増やしてはいけないんだとなると、人の移動を制限しなくてはいけない。人の移動を制限すると失業する人が増えていく。縦軸を見ると、縦に向かって伸びていっていますよね。

そうすると雇用を守らなければいけないということで、行動制限を緩和すると、今度は横に増えていくわけです。感染者が増えていく。ということでなかなかコントロールするのが難しいという状況ですね。今は感染者数が増える中で、職を失う人が増えてきている。新しいフェーズに入ってきた面はあるのかなと思います。(続きは動画でご覧ください)

東洋経済 会社四季報センター
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