ペンシルベニア「郵便投票」こんなにも揉める訳 連邦最高裁が州判決を覆す可能性はあるのか

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ペンシルベニア州の投票が選挙人団の結果を決定する可能性があるとしても、また、遅れて到着した票が同州を大きく揺り動かす可能性があるとしても(どちらもありうる過程である)、連邦裁判所が介入する可能性は高い。

ペンシルベニア州の最高裁判所は、投票日あるいは投票日前の消印があれば、最大3日後までに届いた郵便投票を集計に入れられるとする判決を下している。これについて連邦最高裁は10月28日、この判決に違法性がないか優先審理を求める共和党による上訴を退けている。

優先審理をしない決定

連邦最高裁はこれに先立つ10月19日、共和党によるペンシルベニア州判決の阻止を求める申し立てを退けていた。4対4だったため、州判決を維持した格好だ。

このとき州判決を認めないとしたのが、連邦最高裁のクラレンス・トーマス判事とサミュエル・アリト判事、ニール・ゴーサッチ判事、ブレット・カバノー判事。一方、ジョン・ロバーツ・ジュニア最高裁首席判事のほか、ステファン・ブレイヤー判事などリベラル派の3人の判事が州最高裁判決の維持を認めた。

10月27日に連邦最高裁の判事に就任したエイミー・コニー・バレット判事は、ペンシルベニア案件を優先審査しないという決定に参加しなかった。裁判所の広報担当官によると、参加しなかった理由は、「早期解決が必要」だが、「両当事者の申し立てを吟味する時間がなかった」からとのことだ。

連邦最高裁は、選挙の実施に関する州の規則を変更しようとする連邦裁判所の判決を認めなかった過去はある。しかし、州裁判所の判決の場合は、問題は複雑になる。州法の解釈に関しては、一般的には最高裁は州裁を尊重し、憲法によれば「州議会」が国会議員選挙の時、場所、投票方法を決定する権限を有するからだ。

ペンシルベニア州案件の優先審査を最高裁が否決した際、アリト判事はトーマス、ゴーサッチ両判事とともに声明を発し、連邦最高裁の決定について批判した。声明によれば、「選挙後に深刻な問題を引き起こす可能性を不必要に高めることになる」。

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