日本人エグゼクティブに話し方を指南する中で、最も大きな問題点だと感じるのは、自社のモノやサービスについての情報や自分の考え方を一方的に「伝える」ことがコミュニケーションだ、と勘違いをしている人が多いことです。
コミュニケーションには「①伝える→②伝わる→③つながる」という3段階がありますが、たいていの人は「伝える」だけで終わっています。
メッセージを相手が受け止めてくれて「伝わる」、さらに、相手の気持ちが動き、絆が生まれ、「つながる」というレベルまではなかなか到達できません。
【1】「共感力」「楽しませる」「勇気づける」
トランプとその支持者たちの忠誠心や結びつきを見ると、彼がこの3段階を簡単にクリアし、ある種の運命共同体(コミュニティ)を作り上げていることがわかります。
彼のこの強力な「つながる」コミュ力の秘密は「Empathy(共感力)」と「Entertain(楽しませる)」、そして「Empower(勇気づける)」です。
彼自身、いわゆる「共感力」は低いのですが、感情を喚起し、「共有する力」はすさまじいものがあります。
「民主党」「中国」「メキシコ人」など、「敵」を徹底的に攻撃し、支持者の「怒り」を掻き立てます。そして、「テロリストにやられる」「移民に職を奪われる」「民主党になれば、社会主義の国になる」などと、「恐怖」をあおり続けるのです。
人は「ロジック」ではなく「感情」で動く
人は「ロジック」では動きませんが、「感情」によって、あっという間に動かされます。現に、我々も、コロナは「怖い」→「マスクをしよう」となるわけです。
トランプは、この感情という「動機付けスイッチ」を巧みに操り、人心を掌握します。
そして、何よりも彼のコミカルな話し方はとにかく面白く、支持者は、これまで味わったことのないワクワク感を覚えるのです。
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