「許せない」×「怖い」×「楽しい」。支持者の間で三重奏の感情を共有させ、強いつながり、連帯意識を醸成する。
この「共感力」こそが彼の最大の強みなのです。
トランプは「いい気分にさせる」話し方の天才
トランプのもうひとつの強みは、支持者たちをエンパワー、勇気づけることです。
周縁化されてきたと不満を抱くブルーカラーの白人を中心とした支持者に彼は徹底的に甘い言葉、聴衆が聞きたい言葉をささやき続けます。
「君たちは遺伝子がいいんだ」「なんて素晴らしい人たちなんだ」「君たちが必要なんだよ」「愛しているよ」
コロナだって、「そんなもの、消えてなくなる。心配する必要ないさ」。これが真実でないとしても、聞き手はいい気分になれればいい。
そう、彼は決して「いい人」ではありませんが、「いい気分にさせる」話し方の天才なのです。
優れたセールスマンは「モノ」を売るのではなく「フィーリング」を売ります。この「相手を高揚させ、勇気づける力」こそが、彼の魅力の源泉。
「ほめ下手」「ロジック重視」の日本人には最も苦手とするテクニックかもしれませんが、本当に「いい人」「誠実な人」が、こうしたペテン話法に負けてしまうのはもったいない。
嘘やヘイト、ネガティブな感情を過度にあおる手法は決して許されませんが、彼のやり方をすべて邪道と切り捨てるのではなく、この「いい気分にさせる力」は割り切って学ぶ価値はあるでしょう。
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