日本が「デジタル敗戦」から脱するのに必要な策 国家サイバー・パワーの中核機能をつくれ

✎ 1〜 ✎ 25 ✎ 26 ✎ 27 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、デジタル全体での課題と同様に、サイバーセキュリティーにおける専門人材の不足も深刻だ。プロフェッショナルな世界で各国とコミュニケーションできる当該分野の専門家が継続して雇用され、組織に知見が継続して蓄積されるような体制をつくり、専門人材を育成していく必要がある。

自己への攻撃を防衛する役割を担う自衛隊・防衛省と、サイバー犯罪を取り締まる警察庁との協力をしながら、社会全体のサイバーセキュリティーの司令塔となる機能がデジタル庁に求められる。

「国力以上の外交力は発揮できない」

まずは「デジタル敗戦」の要因を分析し、狭義のデジタル・ガバメントで国民が利便性を感じることのできるようなデジタル・サービスを実現することが第1のステップである。自国民から行政サービスへの評価・信頼を得ないことには、その先には進めない。

ただ同時に、サイバー空間はグローバル空間であることを忘れてはならない。どのようなデジタル・トランスフォーメーションを進めようが、否応なしにそれは世界のサイバー・パワー・ゲームにおける熾烈な競争という地経学的な挑戦に応えなくてはならない。日本の政府には、国家サイバー・パワーという21世紀の最も死活的な国力を育成し、それを行使し、それを防衛する中核的統合機能がどこにもない。

ケネディ大統領はかつて「どの国も国力以上の外交力を発揮することはできない」と記したが、国家サイバー・パワー以上のサイバーセキュリティーの態勢を構築することはできないことを知らなければならない。

(向山 淳/アジア・パシフィック・イニシアティブ主任研究員)

(第2回に続く)

地経学ブリーフィング

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

『地経学ブリーフィング』は、国際文化会館(IHJ)とアジア・パシフィック・イニシアティブ(API)が統合して設立された「地経学研究所(IOG)」に所属する研究者を中心に、IOGで進める研究の成果を踏まえ、国家の地政学的目的を実現するための経済的側面に焦点を当てつつ、グローバルな動向や地経学的リスク、その背景にある技術や産業構造などを分析し、日本の国益と戦略に資する議論や見解を配信していきます。

2023年9月18日をもって、東洋経済オンラインにおける地経学ブリーフィングの連載は終了しました。これ以降の連載につきましては、10月3日以降、地経学研究所Webサイトに掲載されますので、そちらをご参照ください。
この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事