森山裕「菅首相の特長は辛抱強く進めることだ」 自民党国対委員長が明かした新政権誕生の裏側

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この先も、コロナ対策と経済対策をどうするか、真剣に取り組んでいくと思います。そうすることによって、次の道が開けてくる。まず臨時国会での所信表明演説と各会派からの質問への答弁で、菅政治とは何か、国民の皆さんにわかるようになると思います。

「この先も、コロナ対策と経済対策をどうするか、真剣に取り組んでいくと思います」(撮影:尾形 文繁)

臨時国会でいちばんの問題はコロナのワクチン対応の2つの法案です。これがないと、ワクチンを打つことも始めることもできないので、急いで成立させなければなりません。日英通商交渉が妥結したので、条約を成立させなければ来年1月からの関税に影響してくる。何としてもやらなければいけない。ほかに、公務員のボーナス給与の問題もあります。

コロナ対策を含む本年度の第3次補正予算は、臨時国会は無理だと思います。毎年、次の通常国会が始まってからです。今度も1~2月の話だと思っています。

塩田:次期衆院選について、解散権を握る菅首相の姿勢と方針をどうみていますか。

森山:理論上、解散・総選挙は、議論して、野党の皆さんから解散の要求があり、そのことで信を問う必要があると総理が判断をされれば、いつ行われてもおかしくないということです。基本的には、菅総理には、いつ解散するとか、目標を定めて政権運営をしていくという気持ちはないと思います。政権を運営していて、信を問わなければいけないことが出たときは躊躇なくやるという政治スタイルだと思っています。

塩田:コロナの感染状況が全国的に現在のようなレベルの状態で、全国を対象とした衆院選をやることができるかどうか。コロナと総選挙の関係をどうみていますか。

森山:大丈夫だと思いますよ。私の地元の鹿児島県は、コロナの状況がいちばん厳しい時期に知事選挙をやりました。それぞれ地方自治体が選挙事務について卓越したものを持っていますから、総選挙は可能だと思います。

塩田:もう1点、夏季東京五輪は来年7月に予定どおり開催できると思いますか。

森山:予定どおりできるのではないでしょうか。開催できると思います。

塩田:予定どおり来年7月の五輪開催という前提に立てば、解散・総選挙は結局、通常国会開幕後の来年1~2月か、五輪閉幕後の9~10月のどちらかしか選択肢はないのでは。

森山:解散・総選挙は、総理の専権事項ですから、誰にもわかりません。

議員の成り手がいない地方議会の課題

塩田:政治家として、森山さんが、これだけは、と思っている挑戦テーマは何ですか。

森山:われわれがあまり口を挟めないところがありますが、地方議会の出身者として、どうしたら地方議会を活性化できるか、それを考えています。町や村では議員に立候補する人がいなくて大変です。無投票が増えていて、ぎりぎりの段階です。

市議でも町議でも、議員になれば、ずっと議員としての仕事をしなければいけませんが、議員の報酬だけでは、なかなか生活ができない。そういう現実があります。ここをどう考えるかが大事ではないかと私は思います。地方民主主義のいちばんの危機です。

地方自治、地方分権といっても、いろいろな地方の現状がありますので、どういう政策と予算を向けるかは、もうちょっと仕組みから考えていく。その必要があるという気がしますね。

塩田 潮 ノンフィクション作家、ジャーナリスト

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しおた うしお / Ushio Shiota

1946年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
第1作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤』『岸信介』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『安倍晋三の力量』『危機の政権』『新版 民主党の研究』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活!自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』など多数。

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