森山裕「菅首相の特長は辛抱強く進めることだ」 自民党国対委員長が明かした新政権誕生の裏側

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塩田:これから菅内閣にどんな点を期待していますか。

森山:当たり前のことですが、国民のためになる政治をしていく。この当たり前のことをしっかりやっていくことだと思います。世論に左右されることなく、やるべきことをやって積み上げていく。そのときに反対した人がいても、結果的に正しい政策だったと国民の皆さんにわかっていただけるような政治が大事です。

塩田:菅首相は「安倍路線継承」と唱える一方、菅流と言ってもいい独自路線を明確に打ち出しています。経済政策では、安倍政権はアベノミクスを掲げてきましたが、「3本の矢」の「第3の矢」の成長路線は半ば看板倒れの感がします。

菅首相は「本当にこつこつ確実にやってきた」

森山:成長戦略については、菅さんはきちっとわかっています。規制改革を含めて、どう成長戦略を推し進めるか、考えておられるだろうと思います。

例えば牛肉の輸出。これを伸ばそうということになっていますが、屠畜場の問題があった。これは国際的なルールがあり、農林水産省の予算で作るのですが、検査の権限は厚生労働省が持っている。省が違うと、国が違うぐらいややこしい。それで菅さんが官房長官のとき、厚労省が持っていた権限を農水省に移して農水省で一括してできるようにされた。

「重要なことは目線がどこにあるか。国民のためにどういう選択をすべきか」(撮影:尾形 文繁)

もう1つ、水害のときのダム管理。全国のダムには、経済産業省が管理する発電用のダム、農水省は利水ダム、それと国土交通省の治水ダムがあり、それぞれ方向が違うから、水をどう放流させるか、非常に難しいんです。それを官房長官のときにちゃんとまとめてそれぞれの省庁と協議をしながら、国交省がやっていくことにされた。

そういうことを1つひとつ積み上げていく。重要なことは、目線がどこにあるかです。国民のためにどういう選択をすべきか、そこに尽きると思うんです。菅さんの特長は辛抱強く進めていくところでしょう。本当にこつこつ確実にやってこられました。政治の場合、こつこつと進めていくのが到達は早いと菅さんはみておられると思います。

塩田:森山さんから見て、菅さんと二階さんのコンビはどういうふうに見えますか。

森山:「ポスト安倍を考えなさい」と言われたくらいですから、二階さんは菅さんを評価しておられると思いますよ。2人はあうんの呼吸で通じ合っておられるのではないでしょうか。

塩田:幹事長・国対委員長という関係でお付き合いして、二階幹事長はどう映りますか。

森山:私は幹事長の指揮下にありますが、とてつもなく大きな政治家ですね。国会対策や国会運営について何もおっしゃらない。じっと見ていて、任せていただいている。任せてもらったほうからすると、これは必死に応えなければいけないと思う。注文や指図はほとんどない。「それは委員長の考えでいい」とおっしゃる。

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