森山裕「菅首相の特長は辛抱強く進めることだ」 自民党国対委員長が明かした新政権誕生の裏側
塩田:安倍内閣時代、政府と自民党の関係は「首相官邸主導」「政高党低」と、よく言われました。実態もそのとおりでしたか。
森山:決してそうではないと思います。よく連携していた。官邸主導と見えたかもしれませんが、菅さんと二階さんは、相互扶助の関係であられた。
塩田:昨年から今年前半にかけて、安倍さんが岸田さんを後継者と見立てて、昨年9月の党役員人事では「岸田幹事長説」に傾き、そのときに菅さんが「二階幹事長留任」を強く主張して「岸田幹事長起用」に難色を示した、という解説が流れました。
森山:それもいくらか人為的な話のような気もしますが。安倍総理は当時、党運営について二階幹事長に全幅の信頼を置いておられたと思う。そうでないと、上手に回らない。われわれは連立を組んでいますから、公明党ともしっかり連携をしていくことが大事です。
塩田:菅内閣となって、自公関係に変化が生じる可能性は。
森山:変わることはないでしょう。同じくしっかり自公連携でということだと思います。
「派閥の関係にも気を配ることが大事」
塩田:この先、菅内閣が気をつけるべき点は。
森山:菅総理は非常に新しい形の総理です。第1に派閥に属していない。現実には派閥は自民党政治の中で一定の役割を果たしているのは間違いありません。各派に総理と個人的に非常に親しい方々や、先ほど申し上げた同期の方がいます。いろいろなつながりのある人たちが総理と派閥の関係にも気を配っていくことが大事ではないかと思います。
塩田:菅首相は長期に官房長官を務め、内政面では実績が見えますが、外交・安全保障の面で少し不安があるのでは、という見方もあります。
森山:それは違うと私は思います。官房長官のとき、政策決定には全部、携わってきています。外交は二元外交になるといけないので、総理中心という形が正しい方向だと思います。そこを外務省がどう支えていくか。ですが、私は心配ないと思っています。
塩田:菅首相の自民党総裁任期は来年9月まで、衆議院議員の任期満了も来年10月です。向こう1年間に自民党総裁選、次期衆院選、1年延期となった夏季東京五輪があり、そのうえ、コロナは未終息です。4つの大きな壁を背負い、困難な政権運営が予想されます。
森山:まず新型コロナウイルス感染症にしっかり対応することです。これはいい方向に進みつつあると思っています。ただ、経済がそうとう痛んでいるので、議論を重ね、来年度予算をしっかり作っておかないと大変なことになる。内閣支持率が高いから解散・総選挙をという話もないわけではありませんでしたが、菅総理はその選択はされませんでした。
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