森山裕「菅首相の特長は辛抱強く進めることだ」 自民党国対委員長が明かした新政権誕生の裏側

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国会日程のこともあるので、3人で話し合う前に、私は菅さんに一言、「今日、6時から二階さん、林さんと3人で日程などについて協議します」と申し上げた。そのとき、菅さんから「8時ころには議員宿舎に帰るので、お会いできませんか」という話があった。菅さんの政治姿勢から見て、安倍総理が辞任の話をする前には、そんなことは絶対に言わない方だと私はわかっていましたので、これは大事なお話があるかもしれないと思いました。

森山裕(もりやま・ひろし)/自民党国会対策委員長、衆議院議員。1945年生まれ、鹿児島県出身。1965年鹿児島県立日新高校(旧鹿児島県立鶴丸高校・夜間課程)卒業。鹿児島市議会議員を経て1998年に国政へ転身。当選6回(うち1回は参議院)。自民党政務調査会長代理、農林水産大臣などを歴任。2017年8月から自民党国会対策委員長(撮影:尾形 文繁)

私は「二階幹事長も一緒ですが、どうしましょうか」と申し上げたら、菅さんは「できたら幹事長も一緒に4人で」ということでした。人目につかないところでということで、「衆議院赤坂議員宿舎内の応接室で8時から」という話になりました。

4人の話で、菅さんが「安倍政治を継承していくという意味から、総裁選に頑張ってみたいと思う」という話をされた。二階さんが「それはいちばんよいことだな」と言われた。私も「安倍政治の継承を考えても、あなたが頑張ってくださるのがいちばん」と述べました。

二階さんは「自分のムラは、しっかりまとめていかなければ」という話を、同じ派の林さんにされていました。私は石原派です。数は少ないんですが、「石原伸晃会長とよく話をして、石原派をまとめなければいけませんね」と申しました。

二階幹事長が察した菅氏の真意

塩田:この場面での話し合いは、なぜこの4人の顔ぶれに。

森山:実は前哨戦があり、通常国会閉会の翌日の6月18日に、同じ4人で、東麻布の高級中華料理店に集まって話をしました。林さんが電話か何かで部屋を外していたとき、二階さんが菅さんと私の前で「ポスト安倍は安倍だと私は思っている」と口にされ、菅さんに「あなたもそう思っているだろう」と言われた。菅さんの答えは「そうです」という話でした。

二階さんは「しかし、安倍さんが来年9月にもし総裁選に出ないと言ったときは、あなたも少し考えておかなきゃいかんよ」という意味の話を菅さんにされた。菅さんは、にこっと笑われただけで、直接のコメントはありませんでしたが、否定はされなかった。

菅さんが先に席を立った後、二階さんが私に「あれ、大丈夫だな」「まんざらでもないような感じだったな」と言われた。そのときが来たら、決意してくれるかもしれないな、と二階さんは直感されたと思います。でも、それは来年9月の話で、そのときには菅さんは総裁選に出ると二階さんは思われたのでしょう。

塩田:森山さんは、安倍前首相の健康状態の異変に気づいたのは、どのへんからですか。

森山:つらそうだなと思ったのは、お盆の前後からですね。少しおやせになられたなと。

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