免税店世界最大手のスイスのデュフリーは10月20日、中国の電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)との資本提携を発表した。両社は共同で「越境EC」を通じた中国市場の開拓を目指す。
デュフリーは今回、1株当たり33.22スイスフラン(約3839円)で2479万株を発行する増資を実施し、総額約8億2000万スイスフラン(約948億円)を調達。アリババはそのうち491万株を約1億6300万スイスフラン(約188億円)で引き受け、増資後の発行済株式の6.1%を取得した。
これに先立つ10月5日、デュフリーはアリババとの合弁会社を中国に設立すると発表。新会社にはアリババが51%、デュフリーが49%を出資し、アリババが中国に擁するリテール・ネットワークとデジタル技術を、デュフリーがグローバルな商品調達ネットワークとマネジメントのノウハウをそれぞれ持ち寄るとしている。
中国で免税事業のライセンス得られず
アリババとの資本提携は、アジア市場での成長を目指すデュフリーにとって重要な一歩と言える。「今回の提携により、中国市場での成長機会の模索と旅行客向け小売事業の発展が可能になる。最新のデジタル技術を活用し、アジアでの成長をさらに促進したい」。デュフリーのジュリアン・ディアスCEO(最高経営責任者)はそうコメントした。
デュフリーは世界各地の空港を中心に、65カ国に2500店舗余りを展開している。事業全体に占める免税事業の比率は6割、課税事業は4割。中国市場には2008年に参入したが、所管当局から免税事業のライセンスが得られず、上海や成都の空港に課税店舗を出店している。
なお、新型コロナウイルスの世界的流行による旅行客激減で、デュフリーの経営は深刻な打撃を受けている。2020年1~6月期の売上高は15億8700万スイスフラン(約1834億円)と前年同期比62%減少。純損失は前年同期の約8倍の9億300万スイスフラン(約1043億円)に拡大した。
(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は10月20日
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