トヨタの歪んだ釈明、巨大リコールの真因--規模拡大と品質は両立していた
業容拡大の過去を簡単に否定されては、これまでトヨタウェイに協力を惜しまなかった関係者もたまったものではないだろう。
たとえば部品メーカー。08年のリーマンショック以降、何社ものトヨタ系部品メーカーが厳しい経営に直面したが、その原因の一つは、トヨタの海外戦略に沿う形で大型投資を続けた結果、膨大な減価償却がのしかかったからにほかならない。
緊縮体制でようやく業績が上向こうという矢先の今回の対応。ある部品メーカーの幹部は「4月からの新年度の台数計画もままならないのに」と憤りを隠さない。
豊田社長は昨年1月の就任内定会見で「従業員には定年を迎えたとき、よい人生だったと思ってもらいたいし、子供など自分に近い人をトヨタで働かせようと思っていただきたい」と語っていた。
WSJへの寄稿でも「私の名前がついた車が傷つくと、自分の身も痛む思いがする」など創業家出身らしさを示した。ただ、今後も安直な謝罪を繰り返すならば、仮に米国の怒りが解けても、社内外にわだかまりが残りかねない。トヨタのトップには、合理的で科学的な分析に基づいたメッセージの発信こそが求められている。
(撮影:風間仁一郎)
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