トヨタの歪んだ釈明、巨大リコールの真因--規模拡大と品質は両立していた
00年の三菱自動車によるリコール隠し発覚以降、自動車メーカー各社は不具合原因の追究と分析に多大な人とカネを投じてきた。その結果、以前なら原因もわからず対策も講じられなかった不具合が、故障や事故を未然に防ぐ意味から、すぐさまリコールされるようになっている。
06年のホンダのケースが象徴的だ。製造過程で使う潤滑剤の成分が不適切だったことを理由に、48万台をリコール。潤滑剤を電子顕微鏡で徹底的に分析していなかった00年代初頭なら、原因解明にも至らなかった事例だと言われている。
日本では車両使用の長期化やさびを誘発する融雪剤の散布量増加といった社会の変化から、リコールに至る不具合が出やすくなったという指摘もある。にもかかわらず、トヨタも含めメーカー各社は近年、リコール台数を順調に減らしてきたのだ。
特にトヨタはこの時期、700万台規模から800万、さらに900万台をうかがう勢いで生産規模を拡大していた。規模と品質は見事に両立できていたことになる。
マットとABS除けば台数はまだ正常域
昨年来の大規模リコール続発で、トヨタのグラフはハネ上がっているが、技術に詳しい業界関係者は「不具合が非連続に増えることはありえない」と指摘する。
「品質管理の仕組みや考え方が社内に定着していたからこそ、不具合が減っていたはず。いきなり品質を落とすようなことは常識的に不可能だ」(関係者)。実際、今回のトヨタでも、フロアマットとABSの2案件は、“作られた”リコールといえる。
リコールは本来、国の定める保安基準に適合しないか、しないおそれが高い場合に届け出る制度。保安基準には適合しているが、安全のため修理・交換する場合は改善対策となる。
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