トヨタの歪んだ釈明、巨大リコールの真因--規模拡大と品質は両立していた

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明けて06年には熊本県警が04年の事故に絡んで、トヨタの元品質保証部長ら3人を業務上過失傷害の疑いで書類送検する事態となった。欠陥を知りながら長年リコールを怠ったと判断したのだ。当時の渡辺捷昭社長はトヨタ車の品質について、「規模拡大で少しおろそかになっていた可能性がある」と釈明した。

しかしその後、トヨタのリコール台数は急速に減少の一途をたどる。08年には100万台を割りこみ、ホンダや日産自動車を絶対数で大きく下回った。

「トヨタは失敗事例を集積し、製作や設計に反映するシステム作りを本当に真剣にやってきた」(畑村洋太郎・工学院大学教授)。「熊本の一件以降、トヨタの品質保証体制は特に安全に振るようになった」(鎌田実・東京大学教授)。08~09年に開催された国交省リコール検討会のメンバーで、実際にトヨタ社員から聞き取り調査も行った2人の専門家は、こう口をそろえる。

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