トヨタの歪んだ釈明、巨大リコールの真因--規模拡大と品質は両立していた

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トヨタ社内への影響はより深刻だ。実はトヨタは06年、国内でエスティマ1・8万台のABS不具合を国交省に届け出ているが、このときは改善対策だった。このことから、トヨタ技術陣は今回も当初リコール不要論を唱えたと推測できる。

しかし、経験則はトップの判断で見事に覆された。

今後はユーザーの判断や感覚をこれまで以上に重視したクルマ造りを迫られることになる。ただ個々のユーザーの感覚や判断は定量的に表現できるものではなく、「設計時の目標値をどう設定すればいいのか、現場の技術陣はかなり悩むのではないか」(鎌田教授)。

「謝るが勝ち」では真の解決にならない

さらに問題なのは豊田社長自身の説明である。リコールは本来、将来の不具合を早く見つけて対処するというポジティブな意味合いを持つ。

だが社長はそこを堂々と主張するよりも、一連のリコールの原因を近年の拡大戦略やそれによる人材不足だと説明してきた。実際は、今回の本誌調査で明らかなように、両者に明白な関連性は見つけられない。

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