労働組合はアタマが古すぎる ゼンショー・小川社長が語る経営哲学(4)

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――フレキシビリティを雇用形態に持たせると。これもさっきも言ったように賛成なんですが、いろんな雇用の形態がある。しかし、形態はどうあろうと、基本的に働く人たちの条件を引き上げていきますよと。それもわが社の大事な目標の一つですよというようなことはそうなんですね。

そうです。それは経営ですから、言うのではなくて、やってきているわけですよね。何かというと、賃金の問題もあるけども、僕は人間というのは働き甲斐、生き甲斐の問題が大きいと考えているわけです。ですから、お店のクルー出身で店長になるという人も150人ぐらい出てきているし、そこからまた、ブロック長になる、さらに10店舗を管理するとかいうアルバイト出身の人も出てきているわけですよね。

だから、普通の企業ではなかなかないことを先鞭つけて、ずっとやってきている。それには、やはりお店で働くクルーが主人公だという基本的な考えにのっとっているわけですよね。だけど、中には仙台の例みたいに、前の夫と今の夫を店舗に入れて店舗を私物化するということも、実際、過去においてはあった。それはやっぱりイレギュラーであって、会社としても、そこはやっぱり全店伸びている中で売り上げが伸びないわけです。

それは会社としても非常に問題だなと言わざるをえないし、だったら、多くのプロがそうであるように、もっとプライドを持っていい接客をやって、お客さんを増やして、ということは従業員がもっと必要になりますから、雇用も増やすということなんですよね。ということをやっていく。そして、新しいポジションに意欲のある人はチャレンジして店長職に就く、あるいはブロック長に就くと。それはいい職場じゃないかと私は考えているわけです。

ましてや、米国に対してもBSE問題のとき、業界団体から始まって、ろくな調査をやらないで、米国産、安全じゃないかとか、これはかなり米国からのプレッシャーがあったわけですよね。僕らも受けたわけです。それに対しても、ある人は、脅かしだか何だか知らないけど、CIA(中央情報局)がどうのこうのだとか言うてきた人もいますよ。

だけど、やっている本人からすれば、当然そういうことも考えました。場合によっては、やられるなと。だけど、それによって屈してはならないということでやってきたわけです。共産党なんかは反米ということでやってきたのに、戦っている経営者を後ろから撃つみたいなことをやって、だから、トータルマネジメントができてないなと僕は言うわけですよ。部分だけ見て。

業界団体に存在理由はない

――小川さん、フードサービス協会にも入っていらっしゃらないですよね。

ゼンショーは入ってないです。だけど、経過からしてココスとか、何社かはグループで入っているんです。

――特にああいう業界団体、存在理由はないねと思っていらっしゃるわけではないんですか。

業界団体でどうのこうのやるという時代ではないんじゃないかと。銀行業界から始まって、そういう時代は基本的に終わっているんじゃないのという認識なわけですよね。ただ、それだけに個々の企業が、社会的に見ても、どうかという判断をすべきであるし、正しいことをやるべきだし、責任を自覚すべきだし。また、そういう発言の機会があるのであれば、社会的な責任について、そういうことを経営者もきちっと発言すべきだと思っています。

労務問題についても、一方的に弱い者いじめだとか、特定の人が言うことだけを鵜呑みにして載せるんじゃなくて、最低限、ちゃんと考え方を併記して載せてもらいたいし、ファシズムという言い方をしたけども、みんなが何か言ったら、そういう報道するんじゃなくて、けしからん、弱い者いじめだと。日本では、弱い者いじめ論というのは通りやすいだけに危険ですよね。その認識自体がおかしいじゃないですか。

労使協調の、せっかく犠牲を払って築いてきた観点からすれば、企業が何か言うと弱い者いじめという見方自体がおかしいわけであって、だったら、弱い者は社会的に企業ですよね。政治的な団体は上場企業でも何でもないから好きなことを言えるわけであって。実際、記者会見をやったり、その辺でがなったり、株主総会があれば総会屋と変わらないんじゃないかと思うわけです。主張というより、嫌がらせですけどね。だったら、そういうことも含めてメディアは……。

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