こうしてゼンショーは危機を乗り越えてきた ゼンショー・小川社長が語る経営哲学(3)

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小川賢太郎(おがわ・けんたろう)●1948年石川県生まれ。68年東京大学入学。82年ゼンショー設立
「週刊東洋経済」2010年11月27日号掲載の「トップの肖像」は、外食日本一の座にのぼりつめたゼンショーの小川賢太郎社長を取り上げた。この記事をまとめるために行った小川社長へのインタビューは2回、合計6時間以上に及んだ。
昨今、ブラック批判にさらされるようになったゼンショーだが、このインタビューを読むことで、小川社長のブレない独特の経営哲学、生き様が手に取るように伝わってくるはずだ。
ノーカット掲載版の第3回。
第1回 「ゼンショーが抱く、あまりにも壮大な夢」こちら
第2回 「これがゼンショー流の成り上がり術だ」こちら
第4回 「労働組合はアタマが古すぎる」こちら

日本の消費者は世界一厳しい

――米国にはいつ行かれましたか。

2004年です。調査団を作ってね。

――豪州に切り替える前ですか。

前です。米国産が使えないのかと、それが軸ですよね。われわれとしては使いたくないんじゃなくて、使いたいということで調査をやったわけです。で、お話ししたような実情である。だったら、日本の消費者に大丈夫ですと言うわけにはいかない。ということで、米国産はきちっとした対策が取られないと使うわけにはいきませんと。これがわれわれの米国産に対する見解です。

――吉野家なんかは、米国産がいちばん牛丼に向いていると。しかも、ほかの肉を使ったらタレまで変えなきゃいかんと。それはお客様が大事にしてくれる味を壊すことになると。それで彼らは執着したわけです。小川さんは安全のほうを選んで、味を変えようと。

味は、対応能力が問われていると考えたわけです。豚丼にしろ、豪州の肉にしても、われわれの技術でタレの開発も製造も自社でやってきているわけですから、そこのところを対応できないのかと。それが消費者に対する本当の責任じゃないかという考え方をしたんです。

一般的に見れば、ビジネスというのはそう考えるべきだと思うんです。環境がいろいろ変わるんだから、消費者に対しても安全性第一で、クオリティは第二と掲げていて、品質についても企業努力でと。特に農産物を使っていると、いろいろあるわけです。

ある産地のものを使っていても、牛肉も典型なんだけれども、コメだって玉ねぎだって、去年はよかったけれども今年いいとは限らないわけです。日照条件だとか、気温だとか変わるから。だけど、気温が変化しても、そういう条件の下でいちばん消費者にとってクオリティの高いもの、安全なものを提供するのが、ゼンショーとしては役割ではないかと、そういうふうに考えているわけです。だから、それは基本的には正しいと思います。

――味を変えることによって客が離れるのではないか、というリスクというのはあまり……。

当然、悪くなるのであれば離れるでしょう。だから、よくしなきゃいけないですね。去年10月に、330円から280円にしたときも、コメのレベルも上げたし、肉のクオリティも上げているんです。これは結構大変だったんだけれども。それからタレの改善もやって、品質本位と。だけど値段を下げますと。

原価が上がるから苦しいけれども、日本の消費者は世界一厳しい消費者だと思いますね。特に品質について、安全性について。ですから、この厳しい消費者に対して、企業としてはどういう努力をすべきなのか。そうすると、安くするだけではだめで、クオリティについてもよくしていくと。これが企業努力としてあるべきだと考えています。

下げるということであれば、なおさらそこが問われると。一般的に言えば、下げるんだから牛丼の質を落としているんじゃないかとか、安かろう悪かろうじゃないかとか、こう思う人が必ず出てきます。そうじゃないんだと。落とすつもりはまったくない。だけど、そういうネガティブに対してネガティブに答えても理解が得がたい。

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