こうしてゼンショーは危機を乗り越えてきた ゼンショー・小川社長が語る経営哲学(3)
そういうことも踏まえて、じゃあ、われわれとしてもスケールメリットを出せるし、いいんじゃないか、いいお話だということで検討に入ったわけですが、オーナーのほうが途中で、前年比がプラスになってきたんです。当時を見ればわかるけど、マイナス、マイナスだったんです。それがプラスになってきたら欲が出てこられたようで。
ウチが31%買っていた。そこから先、どうせやるなら51%。僕の基本的な考えは、やっぱり変化の時代にディシジョンを早くやらないと、この業界は生き残れないし、成長もできないということで、51%は必須だと考えたんです。だから、次に51%という、当然最初からそういう話だったんです。持ち株会社の持ち分も次に売りますと。
でも、最初は第三者割当増資とオーナーの持ち株を売るということを合わせて31%だったんです。第一次取得でね。そしたら、前年比プラスになった。そうすると、どうのこうのと話がおかしくなってきちゃったんです。
結局は、僕も含めて役員3人が取締役に入っていたのに、ぐじゅぐじゅ言い出したと言ったら失礼だけど、腹が変わったということです。明確には言わなかったけどね。ということで、うちもぐじゅぐじゅ言っていても仕方がないから。
というのは、外食の中でも、やはりわれわれのビヘービアというのはみんなが見ているし、今後のことを考えても大事ですよね。ここだけを見れば訴訟したり、取締役にも3人入っているし、臨時株主総会招集通知だとか、いろいろ手はあったわけです。ただ、日本だから、これはお互いに傷がつかないように、うちは撤退。向こうの悪口も僕もいっさい言わなかったし、だから、ここは余り書かないでほしいんだけど、そういう経過で撤退したわけです。
スシローは、ちょうど時期が同じようだったけれども、これは某証券会社経由で「オーナーが売りたいと言っておられるんだけれども、どうですか」ということなので、調べてみると、スシローもいい会社じゃないのという判断をして、じゃ、わかりましたと。
合併は考えていなかった
――小川さんとしては、2つまとめて、あるいは、はま寿司も入れて一気にというお気持ちはなかったんですか。
当然そうですよ。さっきお話ししたように、やはりそれなりのシェアをとるということを目指したわけですよね。
――かっぱにしても、スシローにしても、会社は売るけれども、いきなり会社がなくなるの? それはやめてよという話にはいかなかったんですか。
なくなるというのは……。
――一つにしちゃうというのはちょっと困るよねという話ではなかったんですか。
だって、うちはココスもそうですけど、別に会社をゼンショーに合併するわけじゃないですから。
――ブランドはお持ちなんですね。
ココスはココスジャパンとして10年間、上場企業として経営をやってきているわけです。合併させているわけじゃないです。グループの企業としてやってきているわけで、当然、かっぱもスシローも上場企業ですから。そういう考え方で、グループとしてゼンショーがオーナー企業にはなるけれども、経営については独自の、かっぱはかっぱの経営をやると。じゃあ、どうやるかについては経営陣と話してやっていくというのが基本的な考えだし、そうやろうとしてきたわけだけど。
――結局、リーマンのときのあれもあって、BSの整理にはよかった……。
そういう見方もできると思うんです。だけど、どっちへ行っても、それなりのプラスマイナスがありますよね。BSも、グループ連結でのBSですからね。一概にデットだけ増えるわけじゃないですから。資産も増えるし、PLも拡大するわけですから。