労働組合はアタマが古すぎる ゼンショー・小川社長が語る経営哲学(4)
問題は、そこに対する対処がきちんとなされないと、何だよということにもなりかねないし、それはおっしゃるようなレピュテーションリスクにもつながる。だから、それは精度を上げています。組織としてはね。
ただ、誤解しないでもらいたいのは、崇高なことを言っているけど、うまいことごまかして残業代も払わないんじゃないのと思っているのかもしれないけど、そんなことは全然なくて、金額的にいえば、もしあったとしても、3500億円の売り上げの中で本当に小さな部分でしょう。だから、そこは企業としてちゃんと払わなきゃいけないわけですよ。当然、そういう姿勢でやっているわけです。
外部団体が団交をやれというのはおかしい
――渋谷の店の裁判があった後、割り増し残業料を払うように変更されたということじゃないんですか。
いや、そうじゃないです。計算の基準について細かい、2.5時間か何かのズレがある。詳しいですね。
――いろいろ新聞の種になっていますからね。
ただ、長年の戦後の経済運営、それから労働運動もいろいろあった中で、さっきから言っているように、労使協調で製造業であろうとサービス業であろうと、やはり問題は起きうるんですよね。問題が起きたことがけしからんことではなくて、それを踏まえて、やり方に問題があるのであれば、それは改善していく。
ただし、そういう意味の労働が一部特定政党と結びついたり、外部の左翼的組合と結びついて、僕らの時代もあったんだけど、明らかに運動として拡大するための……。笑うけど、そうなんですよ。運動拡大のため、うまく使うと。勝ったとか、勝ち取ったとか。そういうのは先祖返りというか、階級的労働運動への逆走であって、21世紀の日本の経済社会の中では、メディアもそれを弱い者の味方みたいに朝日社会部的な取り上げ方をやったり、そういうことが一面的じゃないのと。
赤旗がやるのは、ある意味でしようがないとか、わかるんだけど、ただ、共産党自体も社会的な責任があるんだから、そこのところは、さっきのサンディカリストであるとか、ルンペンプロレタリアートの暴走であるとか、そういうことに対して、きちんとした定見を持つべきと僕は考えているんです。今の執行部で言えば、経験もないんだろうけど、そういう認識が薄いんじゃないのと。だいぶ不満そうですね。
――小川さんの話を聞いて、会社出発の理念はすばらしいんです。小川さんは、それを本気で思い込んでいらっしゃると私は思いますので。ただ、ああいうふうな評価が起こったり、どんなやつかよく知りませんけれども、組合員に対して告訴されてみたり、ああいうのを見ると、理想家の小川さんと、訴訟をやるということを小川さんは承認していらっしゃる。なかなか結びつかないというところが書き手として困っているんです。
でも、それは何回も言うけど、これからの日本を活性化していかなきゃならないと思うし、そのためには社会の基本である企業が活性化されてやっていくこと、これが必要条件なわけですよね。そういう中で、やはり労使協調して生産性も高めなければ企業としても生き残れないし、雇用の確保ができない。ここが基本だと思うんです。
日本だと、あまりに完全雇用が長く続いちゃったから、逆に言えば、雇用を創出する企業に対する評価というものが正当に行われてこなかったと僕は思っているんですよね。だから、やはりアントレプレナーが創業し、雇用を増やしていく。米国が全部いいとは思わんけども、米国であれば、それは社会的に非常に評価されるわけですよね。アントレプレナーの役割も、まず雇用を増やし、そしてGDPを増やす、そういう大きな役割を負っている。だから、社会的にもリスぺクトされるということですよね。
そういう意味では、細かい労働条件とかを言えば、個々の企業においてはいろいろあるかもしれないんだけど、その問題はその問題として話し合って解決していく。ただ、外部団体が介入してきて団交をやれとかいうことは、基本的におかしいんじゃないかと考えているわけです。
全組織に組合があるわけじゃありませんけど、ココスをはじめとして、それぞれ労働組合のある企業はグループの中でも、労働組合は労働組合で交渉もやるということをやってきているし、僕自身もそういう形がいいなと思っているわけです。何かおかしいですか。