第4回 日本の経営系研究者はバカなのか?

大学以外の研究機関の存在感は?

社会科学の分野にも、例えば経済産業研究所やアジア経済研究所といった、公的な研究機関が存在します。論文を書くことを役割の一つとしている公的研究機関が社会科学分野には存在しない,とは言えません。そこで、一概に研究機関の数だけでは比べられないので、より直接的に研究者数を調べてみます。

 文部科学省が発行している「科学技術要覧 平成23年版」の15-10に、学問・専門・組織別研究者数が示されています。
「科学技術要覧 平成23年版」;
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/006/006b/1307610.htm

それによると、公的機関に所属する研究者数(2010年の数字)は、

工学 9,965名
理学 8,077名
人文・社会科学、その他 2,746名

となっています。また、非営利団体に属する研究者数は、

工学 4,108名
理学 1,915名
人文・社会科学、その他 1,765名

となっており、公的機関、非営利団体に所属する理工系研究者数は24,065人(工学14,073人、理学9,992人)であるのに対し、その他を含む人文・社会科学は4.511人で、公的機関、非営利団体に所属する理工系の研究者数は人文・社会科学の約5倍となっています。

 確認の意味で、大学等に所属する研究者も数えてみましょう。大学等に所属する研究者数は「工学」48,602名、「理学」26,196名、「人文・社会科学、その他」93,631名です。これから前ほどの工学の大学本務教員数26,436、理学本務教員数14,700、及び「人文・社会科学、その他」に相当する人文科学、社会科学、家政、教育、芸術、その他、に分類されている本務教員数合計65,872を引いてみます。
(注:「人文学・社会科学関連データ」と「科学技術要覧」が同じ年の数字である保証はないのですが、研究者数、大学教員数ともに年が変わっても、数年の違いでしたら大きな変化はありませんので大きな問題はないと思います)

 すると、大学本務教員を除く「工学」研究者は22,406人、大学本務教員を除く「理学」研究者は11,736人、大学本務教員を除く「人文・社会科学、その他」研究者は27,759人となり、公的機関、非営利団体、大学に所属する本務教員ではない研究者の数は理工系58,207人(工学36479人、理学21728人)、その他を含む人文・社会科学32,270人となります。

 仮にその他を含む人文・社会科学32,270人の中で社会科学の研究に従事する研究者の割合が、その他を含む人文・社会科学の大学教員数における社会科学の教員数の割合と同じであると仮定すると、公的機関、非営利団体、大学に所属する本務教員ではない社会科学研究者の総計は11,200人となり、おおむね工学の3分の1ということになります。

 社会科学の中での経済・経営系研究者の割合はわかりませんが、ここでの社会科学は、論文被引用数研究期間ランキングで言えば、経済・経営と社会科学一般の分野に相当します。すなわち、日本にはこれだけ研究者がいるのだけれど、研究機関ランキングで上位100位以内に入りそうな研究機関はないということです。

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