アメリカ人が興奮「コロナ禍の新たな買い物法」 ネット通販では満たせなかった「欲」にリーチ

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100ドルの注文をカーブサイドで受けた場合、ウォルマートの利幅は店舗の棚から注文の食料品や雑貨類を選び出す従業員の人件費がかかるため1.5ドル減少するが、それでも3ドルの利益が残る、とキーバンク・キャピタル・マーケッツのeコマース(電子商取引)アナリスト、エドワード・イルマ氏は試算する。

同氏によれば、商品を宅配する従来型のネット通販でウォルマートは赤字を出している。ウォルマートは先日発表した第2四半期決算(7月31日まで)で、従来型のネット通販における「損失が大幅に減少した」と説明した。

ウォルマートは現在、店舗で注文の品を集めて客の車に届ける仕事のために、3000を超える店舗で7万4000人を雇用している。5年前には、この要員は1000人にも満たなかった。ウォルマートは今回のパンデミック期間中に雇用を大幅に拡大したが、その大きな目的はカーブサイドの要員を確保することにあった。その結果、同社の従業員数は150万人へと14%増えた。

民間部門でアメリカ最大の雇用主となっているウォルマートで、これだけの雇用が生み出された意味は大きい。目下、アメリカ全体でリストラが進んでいるとなれば、なおさらだ。

コロナで進んだ小売りの変化

しかし、すべての小売業者が雇用を増やしているわけではない。中には、賃金を上げることなく、カーブサイド・ピックアップの仕事を従業員に追加でやらせている会社もある。パンデミック当初の数カ月間に支払われていた上乗せ賃金やボーナスを廃止したところも少なくない。従業員はいま作業量の増加とコロナ感染のリスクという2重の負担を強いられているため、労働組合はこうした決定を批判している。

化粧品専門店セフォラ・アメリカズのジャン・アンドレ・ルージュCEOは、少し前にウォルマートでこんな光景を目にしたと語る。注文の商品を集めるためにカートを押している従業員のほうが、買い物客よりも多かったというのだ。

ルージュ氏はいずれ客がセフォラの店に戻ってきて、同社が扱う化粧品を実際に手に取ったり、試したりするようになると考えているが、それでも今回のコロナ禍によって人々の買い物の仕方や商品の受け取り方は変わることになるとみる。

「今ではアメリカ中のおじいさん、おばあさんがズームの使い方を知っている。この半年間、ズームが孫と話す手段になっていたからだ。だから、ネットは若い世代のものとは限らない」とルージュ氏。「テクノロジーやネット通販はあらゆる世代にかなり浸透した」。

同氏は続ける。「コロナ禍がきっかけで文字どおりネット通販を『発見』した消費者はかなりの人数になる。こうした人々はコロナが理由でネット通販を使い始めたわけだが、ネット通販を使う前の状態には2度と戻れないと思う」。

(執筆:Sapna Maheshwari記者、Michael Corkery記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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