藤井聡太の人気を将棋界が生かし切れてない訳 大スターを最大限に生かす経済効果を考える

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ちなみに、最近の経済効果で話題になったのは、2019年に日本で行われたラグビーのワールドカップや2020年の東京五輪開催の経済効果だろう。

●ラグビーワールドカップ2019
経済波及効果は総額では6464億円。ワールドカップ史上最高のチケット完売率や訪日客による消費支出の経済波及効果、12の開催都市での経済効果などを生み出している。ラグビーワールドカップ史上、過去最大の経済効果であると言われている
●東京五輪
当初発表された試算では、約3兆円(東京都試算、2012~2020年)から32兆円(東京オリンピック・パラリンピック準備局、2013~2030年)という幅の広いものとなったが、新型コロナで1年延期されたことで、様相は大きく変わってしまった。もともと、オリンピックのような大型すぎるスポーツイベントは経済効果を生むことはなく、むしろ経済的な負担になるという説もある

野球やサッカーなどの経済効果は?

ワールドカップや五輪といった国際的なイベント以外で見てみると、プロ野球やサッカー、バスケット、卓球といったプロリーグの概要は次のようになっている(日本政策投資銀行地域企画部「スポーツの価値算定モデル調査」より、2020年3月)。数字は2019年現在。

NPB(野球)
12チーム、公式試合数858、1試合平均観客数2万9779人、営業収益:非公開

J1リーグ(サッカー)
18チーム、公式試合数306、1試合平均観客数1万9872人、営業収益734億円
Bリーグ(B1バスケ)
18チーム、公式試合数540、1試合平均観客数3025人、営業収益145億円
Tリーグ(卓球)
男子4チーム、女子4チーム、公式試合数共に42、1試合平均観客数1186人、営業収益:非公開(数字は2018〜2019年)

規模が大きいプロサッカーであっても、営業収益は734億円となると、やはり日本のプロスポーツビジネスの規模は小さいとしか言えないだろう。英国のプロサッカーとの市場規模を比較すると次のようにざっと5倍の格差がある。

日本……937億円(2016年)
英国……4674億円(同)

ちなみに、新型コロナウイルスによる「経済損失」とはどんなものなのだろうか。経済効果の反対で「負の経済効果」とも言える。例えば、東京五輪は1年延期されたことで6408億円、中止の場合は4兆5151億円というシミュレーションが関西大学から発表されている。

コロナ禍による各種のイベントが、今年の3~5月に相次いで中止に追い込まれたが、その間の経済効果(損失)をシミュレーションした数字も発表されている。いくつかの代表的なものを紹介すると次のようになる。日本政策投資銀行「新型コロナウイルス感染拡大によるイベント等自粛の経済的影響について」(日本経済研究所)より。

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