藤井聡太の人気を将棋界が生かし切れてない訳 大スターを最大限に生かす経済効果を考える

拡大
縮小
プロスポーツ
2688億円(プロ野球、プロサッカー、プロバスケの合計、日本政策投資銀行調べ)、直接効果の経済損失は1385億円

音楽イベント、文化イベント
9048億円(音楽ライブ、ミュージカル、演劇等、同)、直接効果の経済損失は4822億円

フェスティバル
1兆7411億円(自治体等が主催するイベント、同)、直接効果の経済損失は9160億円

MICE
1109億円(国際会議、見本市、展示会等、同)、直接効果の経済損失は580億円

わずか3カ月で、計3兆256億円。直接効果の経済損失も1兆5947億円に達すると試算している。緊急事態宣言による影響がいかに大きいかがわかる数字と言っていいだろう。当然、この中には将棋のイベントなども入っているわけだが、残念ながら詳細な数字は公表されていない。将棋界もまたコロナ禍の影響は大きいのかもしれない。

スポーツビジネスに学ぶ将棋界の活性化!

もともと日本のスポーツビジネス市場は、プロ野球やJリーグなどスポーツ全体で10兆9000億円程度(2020年、スポーツ未来開拓会議)と試算されている。こうした現状の中で、2012年には全体で5兆5000億円だったスポーツ関連市場を、2025年までに15兆円にまで拡大させようということが「日本再興戦略2016」で目標として提示された。

しかし、アメリカや中国のスポーツ市場とは比較にならないほど小さい。例えばアメリカは50兆円(2015~2016年)、中国も約10兆円(同)と言われており、中国では2025年までに100兆円を目指すとさえ言われている。

実際に世界のスポーツビジネスの市場規模は順調に成長を続けており、例えば2009年から2013年の4年間で世界のスポーツイベントの収入は584億ドルから760億ドルに増加したとされる。

日本の経済成長を目指すうえで、観光立国になることばかりがクローズアップされてきたが、その一方でスポーツイベントに対する関心が世界的には広まっており、ちょっとした工夫でスポーツビジネスは巨大な産業になると言われている。

将棋の世界もプロスポーツの世界も構図はあまり変わらない。どうすれば、経済効果の高いビジネスを展開できるのか、という意味ではともに同じ課題を抱えていると言っていい。

日本の場合、戦後形成された新しい仕組みによって、スポーツも、将棋も、さまざまなしがらみに支配されてきた。例えば、プロ野球の世界もかつては読売ジャイアンツのような新聞社系や阪神タイガースなどの交通系企業などによって運営されていた。しかし、時代の変化とともにそのオーナーも様変わりしていったことはよく知られている。

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