快活な老後生活のために知っておくとよい基準 健康でいられる期間をきちんと把握する必要も
日本は諸外国と比べても、寿命が長い国の1つであり、今なお、平均寿命は延び続けています。しかし、“健康”で長生きすることが多くの人の願いであり、最近では、寿命そのものよりも「健康寿命」への関心の方が強いようです。
現在、一般的に使われている「健康寿命」は国の定義によるもので、0歳児が今後、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を示しています。しかし、「健康寿命」が気になりだすのは、中高年以上であることから、0歳の「健康寿命」では実感がつかみにくいのではないでしょうか。
そこで、本稿では、65歳時点の「健康余命」について紹介したいと思います。なお、現在、国が公表する健康寿命は2016年時点のものですが、ここではその計算方法に倣って、2019年の健康寿命・健康余命を概算した数値を使います。正しい計算結果は、国の公表をお待ちください。
「余命」は、「寿命 ー 年齢」より長い
7月に厚生労働省から公表された「令和元年簡易生命表」によると、2019年の平均寿命は、男性81.41歳/女性87.45歳でした。では、65歳の人が、今後、生きる平均的な期間は?というと、「平均寿命ー年齢(男性16.41/女性22.45年)」ではありません。65歳の人の平均余命は、男性19.83/女性24.63年で、「平均寿命ー年齢」より2~3年長くなります。
これは、平均寿命(=0歳児の余命)が65歳未満で亡くなる人の寿命を含んだ平均であるのに対し、65歳の平均余命は65歳まで生きた人のみで計算した平均だからです。その結果、65歳の人は平均で男性84.83歳、女性89.63歳まで生きる計算になります。
次に、2019年の健康寿命(筆者概算による。詳細は後述)は、男性72.68/女性75.38年でした。では、65歳の人が、今後健康でいられる平均的な期間は?というと、やはり「健康寿命-年齢(男性7.68/女性10.38年)」ではありません。今後、健康でいられる平均的な期間を“健康余命”とすると、65歳の人の健康余命は男性14.43/女性16.71年であり、「健康寿命ー年齢」と比べてかなり長くなります。
これは、健康寿命(=0歳児の健康余命)が65歳未満の不健康な期間(アンケートを用い、各年齢で健康だった期間を算出して計算)も差し引いて計算しているのに対し、65歳の平均健康余命は65歳以降の不健康な期間のみを差し引いているからです。
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