北海道で「核のごみ処分場」に続々手が挙がる訳 背景には人口減や財政難など複雑な事情がある
町には小学校2校、中学校1校、高校1校(すべて公立)があるが、生徒数の減少が著しい。1985(昭和60)年の生徒数は小学校468人、中学校275人、高校336人だった。
それが2020年は小学校121人、中学校58人、高校81人と大幅減だ。年間の出生者数は2017年が11人、2018年が10人、2019年が16人。少子化に歯止めがかからない状況だ。
町の年間予算は一般会計(令和2年度)が51億8200万円。このうち町税は2億2000万円あまりで、構成比は4.2%にとどまる。ふるさと納税による寄附金が約10億円で19.3%を占める。自主財源は全体の44.5%だ。
一般会計とは別の事業収入もある。全国有数の強風が吹く寿都町では全11基の風車が稼働し、風力発電事業を行っている。その売電収入が年間5億4000万円あり、1億6000万円ほどの利益が出ているという。財政状況は、平成30年度決算で財政力指数が0.14と、全国平均の0.51を大きく下回っている(日本一の愛知県飛島村は2.18)。
寿都町は「第8次総合振興計画」策定にあたり町の将来像を「地域の資源を地域の活力とした、賑わいあふれるまち」と掲げ、10年後の人口を2600人と想定している。今よりもさらに300人以上減ると見込んでいるのだ。賑わいあふれるまちを目指しながらも人口増は打ち出せない。それが厳しい現実だ。
北海道で2番目に人口の少ない村は泊原発と共存関係
神恵内村はアイヌ語の「カムイ・ナイ」(美しい神の沢)が村名の由来。9月30日現在の人口は818人(外国人1人)で、北海道で2番目に少ない。この村も大正時代までは、ニシン漁でにぎわった。
戸長設置120年記念の歌「積丹半島」(作詞・石本美由紀 作曲・岡千秋 編曲・前田俊明 唄・天童よしみ)には、♪漁師冥利は荒波勝負 船は鰊の宝の山だ といった一節がある。豊かな海に恵まれていた時期があったのだ。村の記念誌には、大正元年(1912)ニシン未曽有の大々漁、イカ大々漁といった記述も見られる。昭和半ばには人口が3000人を超えていたという。
村の基幹産業は漁業だ。かつて神恵内の海は磯焼けに苦しみ、コンブやワカメが消滅し、漁獲高が落ち込んだ。そんな窮地に陥ったなか、高橋村長が音頭取りとなって、平成22(2010)年から地元企業などから協賛金を集めて「藻場LANDプロジェクト」を実施し、海の生態系の回復に努めた。少しずつだが、海藻が復活し、ウニやアワビの実入りもよくなったという。
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